軋むブランコの錆びた音を聞きながら 上下する視界に眩暈して 傍らのシーソーに目を遣ると 地を蹴る子供の靴の泥に ひどく既視感を覚え 傷があまりない新品の 自分のスニーカーと見比べた
砂場に置き忘れられた スコップの安っぽい青色は かつて私が失くしたものに似ているかも知れず 拾い上げて砂を払い 滑り台に反射した夕日に目を細め
五時の時報が鳴る中で 今思えばそれほど高くない ジャングルジムに駆け登り ここに登れば 誰もが簡単に勇者になれたものだったと思い出す
そうして ここにあった「無限」はどこへ行ってしまったのかと 空を見上げて一番星を見つけ ただ私が ここを無限だと思っていた頃の感情を 忘れてしまっているだけなのだと気づき ため息を一つ 静かに吐いた
|