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空の高いところに、天使たちの暮らす楽園がありました。そこに住む天使たちはみな、白く美しい翼と流れるような金の髪を持っていました。ただ一人を除いては。 その一人はイルと言う名で、幼女の姿をした天使でした。イルだけは闇のように黒い翼と燃えるように赤い髪を持っていました。そして背中にはいつも、自分の背丈と同じくらいの大きさの十字架を背負っていました。 他の天使たちはそんなイルを気味悪がり、悪魔の生まれ変わりだと言って誰も話しかけようとはしませんでした。 ある日楽園に人間の男がやってきました。天使たちは男を歓迎しましたが、イルだけは男を地上へ返そうとしました。しかし他の天使たちは誰もイルのいうことを聞きませんでした。 翌日、男はイルに声をかけました。 「こんにちは、天使さん」 男が使ったのは西方訛りのある言葉でした。 「なにかご用ですか?」 イルはその口調があまり好きではありませんでした。 「なぜあんただけ色が違うんだ?」 男は訊ねました。 「忘れないように色を塗ったの」 イルはそれだけしか答えませんでした。 男は何日も楽園にいました。地上に帰る気はないようでした。楽園があまりにも楽しい場所だったので、男は日に日に自分の故郷を忘れていくのでした。 「まだいたの?」 イルはそんな男の姿を見るたびに言いました。 カンカンカンカン。 ある朝、天使たちは鳴り響く警鐘の音で目を覚ましました。 「火事だ、火事だ!」 誰かが叫びました。
---------------------------------------------------- 童話に挑戦。
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