2006年 01月 の記事 (8件)

 空の高いところに、天使たちの暮らす楽園がありました。そこに住む天使たちはみな、白く美しい翼と流れるような金の髪を持っていました。ただ一人を除いては。
 その一人はイルと言う名で、幼女の姿をした天使でした。イルだけは闇のように黒い翼と燃えるように赤い髪を持っていました。そして背中にはいつも、自分の背丈と同じくらいの大きさの十字架を背負っていました。
 他の天使たちはそんなイルを気味悪がり、悪魔の生まれ変わりだと言って誰も話しかけようとはしませんでした。
 ある日楽園に人間の男がやってきました。天使たちは男を歓迎しましたが、イルだけは男を地上へ返そうとしました。しかし他の天使たちは誰もイルのいうことを聞きませんでした。
 翌日、男はイルに声をかけました。
「こんにちは、天使さん」
男が使ったのは西方訛りのある言葉でした。
「なにかご用ですか?」
イルはその口調があまり好きではありませんでした。
「なぜあんただけ色が違うんだ?」
男は訊ねました。
「忘れないように色を塗ったの」
イルはそれだけしか答えませんでした。
 男は何日も楽園にいました。地上に帰る気はないようでした。楽園があまりにも楽しい場所だったので、男は日に日に自分の故郷を忘れていくのでした。
「まだいたの?」
イルはそんな男の姿を見るたびに言いました。
 
 カンカンカンカン。
ある朝、天使たちは鳴り響く警鐘の音で目を覚ましました。
「火事だ、火事だ!」
誰かが叫びました。

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童話に挑戦。
2006 01/29 21:52:23 | 童話 | Comment(0)
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僕の手の冷たさに
君は嘆息しただろうか
小さな鳥を守りきることさえ
できないこの手は
壊すばかりで

君の手を握れば
かすかな悲鳴が聞こえる
「冷たいよ」
温もりを
僕はいつも探してた
君が与えてくれると信じていた

君は悲鳴を上げながら
僕の手を離さない
僕が君の手を引いて
そこから君を救いだせると君は信じてた

凍りがとける
僕の手もとける
君の熱に溶かされてゆく
ごめんね僕は
君の手をひいては行けない

二人の足元に線を引くように
冷たい手が零れ落ちる
2006 01/28 21:28:35 | | Comment(0)
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飴の入った瓶を
月の光のよく当たる場所に置いておくと願いが叶うと
親友は言った

いまはもう
意味のないまじないをした彼女の気持ちがわかるから
笑いながら同じことをする
彼が私を嫌いになりませんようにと願いながら

決してまじないを信じる気になったわけではなくて
ただ
ただまじないは儀式なのだと知ったから
2006 01/27 21:12:45 | | Comment(0)
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窓硝子に写るビルたちは
ひどく単調で退屈だ
忙しく走る車は
醜悪な鉄の塊にしか見えず
コンクリートに阻まれた視界は
妙に冷たく絶望的だ

それが世界だった
どんなに夢を見ても
今見えているたったそれだけが世界の全てだった

白い鳩が視界の隅で墜落した
平和が墜落した

それでもビルは相変わらず乱立していて
車は走り続けている

世界は変わらない

きっと世界は
人間を閉じ込めておく監獄なのだろう


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更新が遅くなってしまいました;
2006 01/26 21:04:18 | | Comment(0)
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昨日来た道を今日も走って
昨日見過ごした花を見つけた
いつ咲いたのか、今日咲いたのか
色のない日々に少し 色が付いた

さっき走った道を歩いて
空を見上げて雲を見つけた
飛行機雲が線を引いていた
明日はきっとよく晴れるだろう

今日歩いた道は明日も多分
おんなじように歩くのだろう
それでも僕は飽くことがない
退屈な日々は とうに忘れた

花の色とか空の色とか
日々変わるものを知っているから


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詩の基礎を無視し続けた結果ありきたりな物になってきたかもしれない。
この間詩の文芸コンクールで奨励賞をとったらしい(まだ賞状がきていないのでよくわからない)ですがたぶんまぐれだと思う。
2006 01/25 21:58:59 | | Comment(0)
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月の光が眩し過ぎて 
あんまり僕を照らすから
部屋の隅で両の肩を抱き
息を殺した

いつまでも雲は現れず
なぜか震えながら
細い月が沈むのを待つ
どうかもう照らさないで
赤い月の視線が痛い

君は見ているだろうか
同じように月に射竦められ
震えているのだろうかそれとも
それとも
やさしい人に手を
握ってもらっているのだろうか

手を伸ばしてみても
届かなくて
胸を締めつける

ただ
もう少しだけ暖かい光が欲しいだけなのに
明るすぎる光が僕を苦しめる
2006 01/24 21:25:10 | | Comment(0)
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ジャラリ、と冷たい音がした
僕を退屈な概念に縛り付けている鎖の音だ

ガシャン、と重い音がした
僕や君が思考にかける、南京錠の音だ

ザクリ、と鈍い音がした
僕が君の心に刺してしまった、刃物の音だ

鎖は僕を雁字搦めにし
鍵は二度と開かれることなく
刃物は刺さったまま

手錠の音がする
僕らをあちこちに繋いでいる、手錠の音だ
耳を劈くように
僕から君からあの子から

僕の右手は君の左手に
君の右手は知らない誰かに
僕の左手はあの子の右手に
あの子の右手は人ではないものに

僕らはみんな、繋がれている
2006 01/23 22:18:56 | | Comment(0)
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猜疑心や失望で細工された感情には
気に止めるほどの価値が無く
緩慢に崩壊していく良心には
問いかける暇もなく

欺瞞に満ちた日々をただ
怠惰に過ごし

何かを叫ぶ勇気も無く
道化を演じるには
子供心を忘れていて

なにもかもを
終わらせてしまいたいのだけれど

それをする力も無く
非力な自分を憎悪する

明日地球が逆向きにまわったら
ほんの少しだけ
自分を好きになれるかもしれない

2006 01/22 20:39:44 | | Comment(0)
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