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現在は漫才に加え、少年時代の貧乏ネタでも注目を浴びるお笑いコンビ「麒麟」の田村裕(28、写真)が初の著書『ホームレス中学生』(ワニブックス)を出版。極貧な半生を赤裸々につづった自叙伝で、悲惨ながら笑える逸話が満載だ。
田村は中学2年生のとき、借金で自宅が差し押さえにあった。当日に父から家族に「解散!」と告げられ、大学生の兄や高校生の姉とも離れ離れになり、独りぼっちで1カ月に渡ってホームレスを経験した。
「その時はなぜか、家がなくなった現実を当然のように受け止めて。今日から一人で生活せんとあかんねんなあ、と」
笑顔で屈託なく振り返る田村だが、大阪の自宅近くにある通称「まきふん公園」を寝床にした当時の生活は悲惨そのものだった。
トイレは草むら、洗濯は公園の水道で済ませ、風呂は雨を代用。飢えをしのぐために段ボールを水にひたして食べたり、公園でオジサンが鳩に与えていたパンをめぐんでもらったりもした。
親友の家族に助けられ、兄姉と屋根のある家に住めるようになった高校時代も、昼休みに水道の水で空腹を紛らわす極貧ぶりだったという。
それでも「僕はパンが好きやけど、あの鳩のエサほどパンをおいしく感じたことはない」と楽しい思い出のように語る田村。著書では、苦労して高校に行かせてくれた兄姉や母、今も消息不明の父への思慕もてらいなくつづり、ホロリとさせる場面も少なくない。
「自分自身の良い記録になった」という田村。本を通し、世に伝えたいメッセージがあるという。それは、幸福のハードルを下げるススメだ。
田村は極貧時代の影響で、売れっ子芸人となった今も「高い肉を食べると、下痢になる」という貧乏性。一方で「僕は今も仕事の後にご飯を食べたり、家で風呂に入り、布団で眠るだけで幸せになれるんです」。
仕事とねぐらにありつけずネットカフェで夜明かしする人もいる格差社会だが、「本を読んだ人に、こんなヤツもおるなら自分はまだエエと思ってもらえれば。幸せのハードルを下げれば、生活は楽しくなるんです」と説く。
今、貧乏時代は夢だったぜいたくに浸っている。
「歩ける距離でもタクシーに乗ったり、200円台のパンを買ったりとかですね」
どこまでも貧乏性は抜けないようだ。
彼女はいないが、「結婚は早くしたい。そして子供ができたら、少なくとも屋根のある家に住ませてやりたいですね」と、ささやかな人生計画を披露した。
【たむら・ひろし】 お笑いコンビ「麒麟」のツッコミ担当。1979年9月3日生まれ。大阪府吹田市出身。府立吹田高校卒業。NSC(吉本総合芸能学院)20期生。99年に同期の川島明(28)とコンビ結成。上方漫才大賞新人賞など各賞を総ナメ。M−1グランプリ決勝進出。
ZAKZAK 2007/09/06
こーゆー人と結婚したら幸せになれそうですね。
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