おすすめミステリー小説、おすすめミステリー本の紹介。 by ホーライ
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夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。

翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。

その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。

彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。

これは事故か、殺人か。

湯川が気づいてしまった真相とは―。



読んでいるときは淡々と…

でも、本を閉じた後に、静かにジーンと余韻が残るお話でした。

次第に明らかになる2時間ドラマにありがちなドロドロした人間関係も、最後には幻想的な海底と、少年の輝かしい未来…そんな美しいモチーフで洗われて、さわやかな読後感。

夏休みに読みたかった。

物理的なトリックは弱くて、あまりそれ自体の推理の醍醐味はないし、フーダニットも対象が実質1人、もう終盤はお涙頂戴にまっしぐらなんだけど、相変わらずの湯川先生の科学者語り、警察官たちの様々な視点、人生イロイロ、定番の要素はバランスよく盛り込まれていて退屈しませんでした。

しかし、湯川先生、めちゃめちゃ人間臭くなりましたね。

これはこれで魅力的だし、まさに彼の言うところの「成長」なんじゃないかなーと思います。


連続刊行された著者の作品の中で、特に挙げたい一作。

子ども嫌いのガリレオ博士湯川と少年との、「化学反応」が面白い。

こういう話が好きです。

ミステリーとかいう前に、こういう設定の話というところが、理系もいいのだなと心から思わされる。

哀しみと切ない希望が一緒に詰まっている。


巧みな人物設定で次々と明るみに出る人間の醜ささと美しさ。

東野ワールドを満喫させる傑作ミステリー!



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2011 12/28 08:09:17 | none | Comment(0)
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相次いで変死した二人の外務官僚。

捜査をめぐる他省庁とのトラブル。

そして娘を襲ったアクシデント…。


大森署署長・竜崎伸也に降りかかる難問の連鎖、やがて浮かび上がった驚愕の構図。

すべては竜崎の手腕に委ねられた!

極限の緊迫感がみなぎる超本格警察小説シリーズ最強の新作。



今回は、殺人事件、ひき逃げ、麻取とのせめぎ合い、放火、娘の恋人の話が 縦糸と横糸のように絡んでいきます。

役所間、部署間の対立が竜崎のキャラで小気味良く切りさばかれていきます。

元・いじめられっこで、ガリ勉、強くも格好良くも無く、原理原則にきっちりしていて融通がきかない、そんなヒーローである竜崎の「竜崎節」を久々に堪能しました。



今野敏氏の作品は、誤解を恐れずに言えば、楽しめるものとそうでないものがある。

好き嫌いかもしれないので、楽しめないものには言及はしない。

この『隠蔽捜査』は1作目を文庫で読んでから、一気にはまった。

いやあ、面白かったですね。

1週間の間に、2、3、3・5と連続して読んだ。

どれもいいから、驚いてしまう。


黙って、読め、だろう。

絶対に損はさせませんよ、と作者に言われているような気がする。

こう書いてくると、やはり小説は好き嫌いなのかもしれない。

ふと、そう感じた。

この竜崎というキャラが好きになれないと、まったくもってつまらない小説となってしまうに違いない。

次回作は? と期待を抱かせてくれる数少ない作品である。

こういう小説に出会えると、嬉しくなる。


建前=本音の主人公竜崎が論破していく様は痛快であり、招いた苦境でも竜崎流を通します。

思わず二度読みした一冊。

二度目は竜崎の生きざまに教えを得る。

文句なしの満点だ。



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2011 12/28 07:46:22 | none | Comment(0)
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2010年「このミステリーがすごい」第4位。


古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。

依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。

調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。

二十二年前のその夜何があったのか?

幾重にも隠された真相は?

米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。 著者新境地の本格ミステリ。



五篇のリドルストーリー(結末を書かない物語)が作中作として収められた入れ子構造の本作。


タイトルが重い印象だったのですが、読み終わった時には『なるほど』と思いました。

父が残した5編の小説の探索を依頼する娘・可南子は、結末だけを所持しています。

報酬に動かされ探索を始めるのは叔父の古書店でアルバイトしている芳光です。

探索途中で、海外で起こった未解決事件『アントワープの銃声』が迫ってきます。


アントワープ&古書店

なぞの5つの小説&5つの結末

可南子の父の真相を隠す愛&古書店の叔父が芳光を突き放す愛

中々興味をそそられるプロットです。

まずは見事なプロットに脱帽した。

リドル・ストーリーとその謎解き(最後の一行)の組み合わせによって正反対の意味が立ち現れる様は圧巻であった。

また、娘に真実を語るべきか否か、悩んだ末に父親がとった行為が哀切。読み始めたら止められなかった。傑作である。


5つの小説は、奇抜な話ではあるのですが映像が浮かびます。

そして読者も結末を考えてしまうのでは!?と、思います。

その結末ですが、他の小説でもありえる結末で読ませます。

ワクワクしながら読み終えました。


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2010 12/31 15:35:35 | none | Comment(0)
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2010年「このミステリーがすごい」第3位。


その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。

1998年、春。

夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。

不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。

そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?

秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。


その学校の、そのクラスにはある「呪い」がある。

避けられない死の連鎖に挑む少年少女の運命は--

新本格の旗手が満を持しておくる、戦慄の青春ホラー。


 
学園ミステリーホラーで、主人公の少年が転校して入ったクラスの三年三組にだけ起こる怪奇現象。

そしてジンクス。
 
謎のクラスメート見崎鳴(みさきめい)。
 
沢山の不気味で美しい人形たちは、人形作家「天野可淡(あまのかたん)」 の人形を連想させる。

ホラー的なグロい描写もあって気に入りました。

なんといっても「見崎鳴」が謎めいてて凄く気になり、 ぶ厚い本ですが、3日で読んでしまいました。

この作品は2006年から書かれただけあって、あとから読んだ「館シリーズ」たちとは違って最近っぽい感じです。

怪談、ホラー、ミステリー、学園ものが好きなら楽しめると思います。
 
これを読んで綾辻のファンになりました。



「面白かった!」と思える作品でした。

最初はページ数の厚さに「時間がかかりそう」と思ったのですが……

いざ読み進めると先へ先へと、気づけば1日もかからず読み終えてしまいました。


決して読み飛ばすような内容では無くむしろ、とても読みやすい作品でした。

情景が鮮明に思い浮かぶくらい内容がスッと頭の中に入るような文章。



全体的にホラーとサスペンスに所謂ジュヴナイルっぽい感じが各少々といった雰囲気がありました。(あくまで私的意見ですが)

三年三組に降りかかる《呪い》と噂される謎の現象。

居ない筈なのに居る《もう一人の誰か》

一体誰が?

何故?

次はどうなる?

という不安感や疑心感は少し背筋が涼しくなるような、ちょっと不気味な感覚すらしました。


そういったホラー感の味付けがなされたミステリーが完成しており、読者はそれを堪能すればよい、一級のエンターテイメント小説です。



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2010 12/31 03:53:12 | none | Comment(0)
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2010年「このミステリーがすごい」第1位。


立ちはだかるのは、人情という名の謎

日本橋の片隅で発見された四十代女性の絞殺死体。

「なぜ、あんなにいい人が」と周囲は声を重ねる。

着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、未知の土地を歩き回る。

「この町のことを思い浮かべるだけで、忽ち様々な人間が動きだした。そのうちの一人を描こうとすると、そばにいる人々の姿も描かざるをえなくなった。まる でドミノ倒しのように、次々とドラマが繋がっていった。同時に謎も。最後のドミノを倒した時の達成感は、作家として初めて味わうものだった」――東野圭吾


東野圭吾作品の中でも、「加賀恭一郎シリーズ」はかなり好きなので、迷わず購入しました。

この小説の舞台は日本橋。

その一角で起こった絞殺事件を調べるべく、着任したばかりの加賀刑事は日本橋界隈のさまざまな場所に出向いていきます。

ただし、「営業マンの上着」から始まり、加賀刑事の見事な洞察力はそれまでの作品同様に見ることができますが、事件そのものの真相は、それほどビックリするようなものではありません。

しかしそれよりも印象深いのが、日本橋界隈の人々や、加賀刑事自身が見せる「人情」です。


全九章ありますが、第一章〜第八章までそれぞれ、加賀が訪れる日本橋の8か所が舞台となっています。

そして事件の調査のために訪れた加賀が、その手掛かりをつかむ様子だけでなく、彼の働きによってそこに隠されていた人々の「大切な人への想い」が前面に出てきたり、通い合っていなかった心と心が再び交流を始める様子などが描かれ、読んでいて非常に心温まりました。

どれも事件の解決に向けての「通過点」の一つに過ぎないのですが、結末が非常によく、それぞれの章がエピソードとして独立して成り立っています。

そして第九章のラストも、「心を通わせていたつもりが実はそうでなかった」という点では非常に考えさせられました。

最後に、加賀恭一郎シリーズはこれの前に、

『卒業 雪月花殺人ゲーム』★
『眠りの森』★
『どちらかが彼女を殺した』
『悪意』★
『私が彼を殺した』
『嘘をもうひとつだけ』
『赤い指』★

以上があります。

もちろんそれぞれ別の事件を扱っていますから、単独でも十分楽しめるのですが、他のシリーズ作品(特に★印)を読むと、加賀刑事の人物像がよくわかりますので別の楽しみ方ができます。


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2010 12/30 20:55:16 | none | Comment(0)
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伊坂幸太郎おすすめミステリー小説、お奨めの伊坂幸太郎のミステリー小説。伊坂幸太郎の名作ミステリーの面白い作品。

おすすめミステリー作家のオススメ面白いミステリー、おもしろい傑作お勧めミステリー小説は『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎(著))だ。


2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。


既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。

レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その才能の原点ともいえるのが本書だ。

事件の被害者は、なんと、人語を操るカカシなのである。


コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。

仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。

そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。

しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。

なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。

「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。


嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す男「桜」。

不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界だ。

一方、そんな虚構に比するように、現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う警察官、城山である。

本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっているからだ。

本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果てしない可能性を押し開くものである。



伊坂幸太郎さんのデビュー作。

現実と非現実のどちらとも言えない設定に戸惑いましたが、 最後まで読むと良い作品だなと思いました。

どういう終わり方なのか、気になりながら読みましたが、読み終わってみるといい読後感。

伏線の張り方、回収が緻密で、ラストも良かったです。

その後の作品と比べると、疾走感というか一気に読ませる惹き付ける感じが少ないようなので、伊坂作品を初めて読むなら、この作品じゃない方がいいかもしれません。

この作品をいいなと思った方には、他の作品も躊躇なくお勧めしたいです。


独特な余韻を強く残した、不思議なミステリーだ。


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2010 12/29 05:52:37 | none | Comment(0)
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東野圭吾おすすめミステリー小説、おすすめの東野圭吾のミステリー小説。東野圭吾の面白い作品。

面白いミステリー、おもしろい傑作おすすめミステリー小説、名作ミステリー小説は『白夜行』東野圭吾(著)だ。



TBSにおいて「白夜行」をTV番組化(2006年)

また映画化も進んでおり、2011年公開予定である。



前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回は読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。 

1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。

最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。

物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。

当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。

2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。

当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。

しかし謎の存在など、どうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。


1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。

容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。

被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。

二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。

だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。

息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。

心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。



総ページ850程度、全13章からなる物語。

ライトノベルなら3冊分は あるボリューム。

主人公の雪穂と亮司の小学校時代から19年後までが 淡々と語られる。

なぜ淡々かというと、主人公二人の内面心理の描写が全くなく、他の登場人物の目を通じてしか二人をうかがい知ることができないからだ。

加えて、物語はある殺人事件に端を発するが、犯人や犯行方法は途中で暗示され、焦点は事件の解明ではなく今後の展開に移っていく。

だからこの物語はミステリーというよりは叙事詩だ。

読み進めていくごとに、二人の関与がほのめかされ、そして徐々に真相が明らかにされていくにつれ、背筋の凍る思いが募っていく。

ノワールの傑作と評されることにもうなずける。

だが、真に驚くべきことは、とうとう最後まで二人の内面が一切明かされないことだ。

稀代の悪女と犯罪の天才。

二人はどのように結ばれ、何を目指したのか。

いや、亮司はなぜ雪穂の影で在り続けようとしたのか?

これに対して雪穂は亮司に何を与えたのか?

雪穂は亮司を愛していたのか?

二人に潜む闇はあまりに深く、ありきたりの想像や感情ではとうてい推し量れるものではなかろう。

しかし、こうした思いに対する答えはない。

ないのである。

だから読後もふとした拍子に雪穂と亮司の物語に思いを馳せてしまう。

まさにいつまでも余韻が消えないのだ。


なるほど、これが東野ワールドか・・・。



再読三読に耐えうる推理小説というのはそうそうあるものではない。

その意味でも、やはりこの作品は傑作なのだと思う。



主人公二人の会話・心情・行動すべてが隠されたまま、最後まで疾走する10年以上に亘る大河ミステリー。



夜寝る前に本を読むことが多い。

眠くなるまで読もうっと。

分厚い本だなぁ。疲れそう。

・・・・・気が付いたら、明け方だった。



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2010 12/28 21:50:21 | none | Comment(0)
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歴史的名作ミステリー小説、おすすめ傑作ミステリー小説、お薦めミステリー小説、お勧めミステリー小説、お奨めミステリー小説、本格ミステリー小説の紹介です。

今回は定番中の定番、本格ミステリーの王道『幻の女』ウイリアム・アイリッシュ(著)です。

本作品の出だしは超有名だ。

「夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」


長いお話なのに途中でだれることもなく飽きませんでした。
 
文句のつけようがありません。
 
古い推理小説を読む楽しみを教えてもらいました。

洗練された文章で、謎を解く鍵は全て読者の手の中にあり、なおかつ最後でどんでん返し。


タイトルはずいぶん昔から知っていた。

評価も高かった。

その作品をようやく読むことができた。噂どおりの面白さ、だ。
 
作品が書かれたのは、1942年。そんな古さはみじんも感じさせない。

 

妻殺しの罪で死刑判決を受けたヘンダースンは、犯行時刻、「幻の女」と一緒にいた。

二人でバーに並び、タクシーに乗り、食事をした。

劇場の最前列でショーも見た。

その女の証言さえ得られれば、ヘンダースンの無罪は明らかだ。

 
しかし、ヘンダースンはその女の名前も容貌も思い出すことができなかった。

そんなことには関心がなかったからだ。

ただ、二人を目撃したという証人が全くいないのが不思議だった。

そんな二人連れは見なかったと言うならまだ理解できる。

ところが、関係者はなぜか皆、口をそろえて、ヘンダースンは一人でいた、と証言する。

 
ヘンダースンの言葉を始めて信用したのは、彼を死刑に追い込んだ刑事バージェスだった。

バージェスのアドバイスで親友ロンバートの助けを求めるヘンダースン。

その時点で、死刑執行までに残された時間は21日間しかなかった。

 
探偵役は一つ一つ小さな成功を積み重ねて真相に辿り着くものだと思っていた。

しかし、この作品は違った。

一つのヒントが成果につながろうとする瞬間、キーパーソンが事故死してしまうのだ。

そのたびに、手がかりが一つ一つ空しく消えてゆく。

果たして本当に事故死なのか? 

死刑執行までに真相は明らかになるのか? 


そんなことを考えながら読み進むと、終盤一気の展開で真相が明らかになる。


死刑執行が刻々と近づく緊迫感とともにニューヨークの雰囲気が作品全体に溢れている。

上質のミステリは上質の風俗小説であるのかもしれない。

現在の読み手にとってこの結末は意外なものではないのかもしれないが、それを差し引いたとしてもこの作品が一級のミステリであることに間違いはない。


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2010 12/28 05:55:35 | none | Comment(0)
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歴史的名作ミステリー小説、おすすめ傑作ミステリー小説、本格ミステリー小説の紹介です。

今回は定番中の定番、本格ミステリーの王道『Zの悲劇』エラリー・クイーン(著)です。



政界のボスとして著名な上院議員の、まだ生温かい死体には、ナイフが柄まで刺さっていた。

被害者のまわりには多くの政敵と怪しげな人物がひしめき、所有物の中から出てきた一通の手紙には、恐ろしい脅迫の言葉と、謎のZの文字が並べてあった。

錯綜した二つの事件の渦中にとび込むのは、サム警部の美しい娘のパティと、レーンの名コンビ。


『Xの悲劇』『Yの悲劇』につづく、エラリー・クイーンの推理小説の名作。

名探偵ドルリー・レーンと、元警部のサムの娘、ペイシェンスのコンビは、不可解な殺人事件の奥にひそむ真実を白日のもとに…。


無実であるにも関わらず、死刑判決をうけた男を救うため、死刑執行までに、事件を解決しなければならないという《タイムリミット》もの。

特に、まさに死刑が執行されんとする場面でのレーンの推理は、クイーン全作品のなかでも白眉といってよく、圧巻の一言です。


計27人の容疑者を次々と消去し、最後に残った一人を犯人として指摘するクライマックスのカタルシスは無類ですが、その後に訪れる皮肉な幕切れは、このシリーズならではの苦味を残します。



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2010 12/28 05:54:47 | none | Comment(0)
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歴史的名作ミステリー小説、おすすめ傑作ミステリー小説、本格ミステリー小説の紹介です。

今回は定番中の定番、本格ミステリーの王道『Xの悲劇』エラリー・クイーン(著)です。



ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。

おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。

この密室犯罪の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。

“読者よ、すべての手がかりは与えられた。

犯人は誰か?”と有名な挑戦をする、本格中の本格ミステリー小説。

ニューヨークの市街電車で起こった事件は、サム警視の頭を悩ませるに充分なほど不可解なものだった。

突然の豪雨を避けるため、婚約者や友人たちと市電に乗った株式仲買人が、なかでくずれるように倒れた。

上着のポケットに入っていた奇妙な凶器で殺されたらしいのだが、密室状況の車内には被害者に悪意を抱く者が大勢いた。

サム警視は事件の解決を元俳優の探偵ドルリイ・レーンに依頼するが、第2、第3の殺人が発生するにおよび、事件は意外な様相を呈しはじめる。

巨匠エラリイ・クイーンが若き日にものした本格ミステリの傑作!


読者にデータがフェアに提示され、それを起点に推理することにより、 ある事実を特定可能にするといったクイーン一流のロジックも健在で、 本作においては、第一の殺人における凶器を扱うための道具や第二の 殺人における死体の手術痕、そして第三の殺人における死体の上着の 内ポケットにあった列車の回数券などにその特徴を見ることができます。

なかでも、法廷において殺人の罪に問われた無実の被告を救うために展開される彼の右手の傷をもとにした論理は明晰で、クイーンの本領を存分に味わえます。


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2010 12/28 05:53:39 | none | Comment(0)
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