夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。
翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。
その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。
彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。
これは事故か、殺人か。
湯川が気づいてしまった真相とは―。
読んでいるときは淡々と…
でも、本を閉じた後に、静かにジーンと余韻が残るお話でした。
次第に明らかになる2時間ドラマにありがちなドロドロした人間関係も、最後には幻想的な海底と、少年の輝かしい未来…そんな美しいモチーフで洗われて、さわやかな読後感。
夏休みに読みたかった。
物理的なトリックは弱くて、あまりそれ自体の推理の醍醐味はないし、フーダニットも対象が実質1人、もう終盤はお涙頂戴にまっしぐらなんだけど、相変わらずの湯川先生の科学者語り、警察官たちの様々な視点、人生イロイロ、定番の要素はバランスよく盛り込まれていて退屈しませんでした。
しかし、湯川先生、めちゃめちゃ人間臭くなりましたね。
これはこれで魅力的だし、まさに彼の言うところの「成長」なんじゃないかなーと思います。
連続刊行された著者の作品の中で、特に挙げたい一作。
子ども嫌いのガリレオ博士湯川と少年との、「化学反応」が面白い。
こういう話が好きです。
ミステリーとかいう前に、こういう設定の話というところが、理系もいいのだなと心から思わされる。
哀しみと切ない希望が一緒に詰まっている。
巧みな人物設定で次々と明るみに出る人間の醜ささと美しさ。
東野ワールドを満喫させる傑作ミステリー!
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