「リーチ」の店主、西岡利一さんは清水公照さんと同年配。 絵が好きで、将来家督を継ぐ約束でフランス留学したが、体を壊して帰国。 入院中に看護婦さんと恋仲になり、僅かな身の回りものと本を持って駆け落ち。 働こうとしたが「お坊ちゃま」育ちで続かない。 しかたなく、持ってた本を売り始めたのが古本屋の始めと聞いた。
本の装丁に詳しく、表紙に錦や古代布を使っては職人を泣かせた。 本の印行の印判も、消しゴムを削って手作りしたり、 本紙に特殊な和紙を探して使ったり、 三年間で装丁のことをさんざん勉強させられた。
味のある書は公照さんとも通じ、墨の4色刷りなどもやらされた。 絵描きとしても気心が合うのか、二人の長話につきあわされたが、 この三年間に、 お二人に教わったこと、 諦めないこと、 断らないことが 現在の私を形作っていると思う。
色んな紙を見せられた。 色んな墨を擦らされた。 色んな絵の具の匂いを嗅いだ。
今では到底出来ない貴重な体験をし、財産となった…
私の知ってる限りでは、「恋仲」「僅かな身の回りもの」「駆け落ち」の言葉が似合う唯一の方でしたねぇ〜
今で言えば「ライトノベル」の走りと言ってもいいこれら画帳10巻も 「愚」「にほん」「桃紅李白」「右往左往」を残してあげてしまった。
10巻そろってれば大変なお宝だったろうにね(^。^)
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