●『忘却の河』(新潮社・文芸書) ●福永武彦 ●読んだ日:2000年06月。 ●コメントとか:友人に「読んだことある?便覧に出てたよ、面白そうだよ」と言われて読んでみようと思ったよ。 すぐに丸善に買いに行ったら見当たらず、レジのおねーさんに訊いたら「絶版です」。 じゃあもう読むことはできないんですかと、ショックを隠しきれないわたしに、おねーさんは優しく丁寧に、図書館には置いてあると思いますよと教えてくれました。 図書館へ直行。 書庫から出してもらってようやくしあわせ。 一応短編集というかたちをとってるけど、すべてのお話は繋がっている、ある期間の出来事がある家族(+α)のそれぞれの視点で書かれてるよ。 たぶん7コお話があったと思うけど、そのどれもがすごく完成度が高い。 1コの短編としても全然いいし、ストレートにはカブらない繋がり感が絶妙。 このかたちと一緒なのが、角田光代の『空中庭園』ですね。 でも忘却の河は最初と最後のお話の主人公が同じで、うまくまとまって終わってるから、全体としての完成度も高いんだと思う。 お話は暗いのだけど、わたしこういうの大好きだ。 ちなみに、読んだ当時に放送されてたIWGP(リアルタイムで全話見たよ)の主題歌が『忘却の空』で、この本を思い出すと頭の中ではSadsの音が流れだすよ。
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