収賄容疑で防衛省前事務次官の守屋武昌容疑者(63)が逮捕された防衛省汚職事件で、クローズアップされているのが航空自衛隊の次期輸送機「CX」。米GE社製のエンジンを積み、この先はエンジンや部品など受注総額が1000億円に達するともいわれる。CXは日本が持つ航空技術の総力を結集した国産輸送機なのだが、思わぬ形でケチがついてしまった。
「今、使われているC−1輸送機が古い2トントラックだとすれば、CXは最新の10トントラック。その導入で航空自衛隊の輸送能力や展開力は飛躍的にアップします」と語るのは、軍事評論家の神浦元彰氏。
現在の主力輸送機「C−1」は初飛行が1970年の国産機で、後に米国製のC−130と並行して使われてきたが、その耐用年数などから、2000年に次期輸送機を国産で開発することが決まった。
その結果、防衛省と主契約を結んだ川崎重工の傘下に、三菱重工や富士重工など日本の航空機関連企業が結集し、早ければ12月中にも試験機の初飛行を行い、来春には防衛省への初導入が予定される段階となっていた。
総開発費は約3500億円で、その設計には国内の航空技術者の3分の1にあたる約1300人が参加したといわれ、文字通り日本の英知の結晶なのだ。
CXの最大積載量はC−1の4倍以上の37.6トンで、航続距離は12トン積載時で8900キロメートル、37トン積載時でも5600キロメートル。約8トンの最大積載時に1300キロメートルしか飛べないC−1を大きく上回り、その導入で、航空自衛隊の機動力や展開力は飛躍的に向上する。
川崎重工などはCXと同時にエンジンまで開発した次期対潜哨戒機「PX」の両機を民間の輸送機や旅客機に転用する意向を持っており、欧米勢と比べて立ち遅れていた日本の航空産業の復権にも繋がる大プロジェクトとして期待されていた。
そんな経緯にケチをつけてしまった守屋容疑者は今年6月14日、航空機課の職員に、米GE製CXエンジンの販売代理店の権利が山田洋行からミライズに事実上移ったことを踏まえ、エンジン調達が「(ミライズと)随意契約にならないのはおかしいのではないか」と詰め寄ったとされる。
当時、ミライズは防衛省との契約実績がなく、入札への参加資格さえなかったのだが、守屋容疑者は防衛省が随意契約の原則廃止を打ち出していたことも知ったうえで、ミライズに有利な発言をしていた疑いが持たれている。
ZAKZAK 2007/12/05
飛行機ってこうして見るとあんまり大きくないよね
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