謎の木造船が昨秋以降、日本海岸に相次いで漂着している。各海上保安本部によると、昨年11月以降、7道県で29隻を確認、このうち23隻が石川、新潟両県に集中する。長く人が乗っていた形跡が無く、両県を管轄する第9管区海上保安本部(新潟市)や両県警も工作船の可能性はほぼないとみる。だが、北朝鮮などからの密航者が使った可能性は捨てきれず、発見される度に調査を迫られる関係機関からは「迷惑な船」との声が漏れる。
「どこの物か分からない船が漂着するのは、気持ちいいものじゃない」。石川県輪島市議で輪島沿岸警備協力会の会長も務める坂下幸雄さん(75)は、先月15日の出来事を振り返る。
日本海に突き出た能登半島の中ほどにある輪島市の袖ケ浜。午前9時ごろ、長さ6メートル、幅1.65メートルの木造船が漂着しているのを、近くの男性が見つけた。1時間後には、約10キロ離れた同市大沢町の岩場で長さ10メートル、幅2メートルの木造船が発見された。
いずれも船体が損傷したり、海藻が付着したりしており、県警は事件・事故の可能性は少ないとみる。
9管本部によると、昨年11月17日に石川県志賀町沖で漂流する船を海保の飛行機が発見してから1月18日までに、石川で11隻、新潟で12隻が見つかった。このほか、昨年11月以降、北海道、青森、山形、福井、鳥取の5道県で計6隻が確認された。
ほとんどが長さ5〜8メートル程度で、幅は1.5メートル前後。中には船体にハングルが書かれたものもあり、地名から船は北朝鮮のものとみられる。プロペラの付いたものもあるが、船は底が平らで長距離航海には向かないものばかり。藻や貝が付着し、長い間漂流した痕跡もある。
それでも、海保や警察が無視できないのは、昨年6月に脱北者4人を乗せた木造船がレーダーに捕捉されることなく、同じ日本海側の青森県深浦町の港に流れ着いた例があるからだ。4人は韓国に移送された。
脱北者を乗せた6月の船は長さ7.3メートル、幅1.8メートルで、形も輪島市に漂着した木造船と似ている。9管本部も「いずれも平底の木造船で、船形は一致している」と見る。袖ケ浜の船を見た坂下さんは「日本海側は密航者が来やすい。警戒は必要だ」と心配する。
一方、石川、新潟両県警とも、船体の損傷が激しいことから、北朝鮮の工作船や脱北者を乗せた不審船の可能性は低いとみる。新潟県警外事課によると、県警内には「北朝鮮各地を襲った昨夏の水害で流れた船でないか」「秋に台風で多数の漁船が不明になったという報道があり、それではないか」などの見方があるが、結論は出ないままという。
ただ、こうした船が発見される度に、海保や各県警は調査を迫られる。石川県警公安課の藪上治吉次席は「(発見される)その都度、人を出して不審な点がないか調べなければならない……」と話している。
■脱北者の増加に警戒必要
〈北朝鮮事情に詳しい山梨学院大・宮塚利雄教授(北朝鮮経済)の話〉 北朝鮮では小さな船でも貴重で、1隻1隻を軍が管理している。漂着船が北朝鮮のものだとすれば、食糧不足で密漁を繰り返している漁民の船が、悪天候で流された可能性もある。ただ、なぎならば海流に乗って小さな船でも日本にたどり着けることを北朝鮮の民衆は知っている。青森のケースもあり、脱北者が増えることを警戒しなければならない。
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そんなに自分の国嫌いなんだろうねぇ
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