こんな時、やっぱり人は一人なんだと思う。 独りを嫌って、人にすがってしまう。
望んでも望んでも、一つにはなれない。 二人はもちろん違った個体で、同じにはなれない… だから、求め合うんだって、誰かは歌ってる。 それでいいんだよーとも、歌っている。
どうして、こんなにも独りを嫌うのか… どうしても、強くなれないから。 人に依存して、強いって思いたい。 自分を飾り立てて、身を守りたい。 でも、自分は自分で、何かになれないし、一つのまま。
結局、人は「一人」として産まれてくるし、 「一人」として死んでいくのに… そうやって諦めたように考えてしまう、自分が少し悲しかったりもする。
だけど、個体ゆえに、ありえない程の価値観もあって、 それが常に事をややこしくさせたりする。 みんな違ってみんないい――確かにそうかもしれないけど。 時々、心の底から疲れたりする… 価値観のぶつかり合いは。 そこから何か学べたらいいけど… ある程度、自分の価値観が確立してるような、 してないような… この中途半端な年代は、へんに認め合うことをしない。 きっと私だって例外じゃないんだろうけど。
大嫌いな子がいる。 どうしても、認めることが出来ない。 分かるよ、分かるんだけど…理解していくのは難しくて。 私の一番大嫌いなタイプ。 生理的に、受け付けないタイプ。 いるんだよ、特に女の子に多く。 よく言えば、八方美人なんだろうけども… いつも、自分の立場が確立すると、くだらないことばっかり言う。場を読めよって気にもなる。 一転して、独りになると、誰かに泣いてすがる。 「一緒にいて」って。 同情で一緒にいて、何がうまれるんやろう。 そんなもの、どうでもよくて、プライドとか、どうでもよくって、 ただ、「独り」が嫌で嫌でみじめで辛い。 それに勝るものは何もなくて、執拗に、人を求める。 女の子には、本当にありがち。 一人でお弁当を食べること、 トイレに行くこと、 移動教室すること… くだらないようなことが、一人じゃ出来ない。 女という生き物。大嫌い。
なのに私は女だから、矛盾してる。 どうしようもない。
私のPrecious。友達の未希。 私の大嫌いなあの子が未希に泣きついた。 だけど、優しすぎる未希は、拒めない。 むしろ、痛いくらいあの子の気持ちが分かるから、一緒に居てあげたいって思うって、言ったよね。 私は、そんな未希が大好きやし、時々嫌になる。 「優しい」未希は大好きだよ。 でも、時々「優しすぎる」未希のこと、嫌になる。 「すぎる」って時には人を傷つけるよね。 「言う」のはいいけど、「言いすぎ」たらダメだし。 物事には、程度があるって、中学の先生は教えてくれた。 そうだと思うの。 私はいつもハッキリ物事を言って、サバサバしてる子だから、 よく敵を作ったし、憎まれもするし嫌われもする。 でも、関係ない人に何を言われても、私は平気な人間。 嫌われようと、疎まれようと、私を大事に思う人が居てくれるの。 「Precious」が、私の中にちゃんとある。 だから、平気、一人になっても、独りじゃないから。 だけど未希は、優しすぎる。 その裏に、極端に人に嫌われることへの怖さがある。 そんな未希だから、滅多に嫌われるなんてなかったね。 だけどそんな風に生きてる未希を、 本当は壊れやすいって皆は知らないから、傷つけられやすいんだと思う。 だけど、そんな女の集まりだからこそ、怖い。 未希が傷つく要素がいっぱい生まれてくる。 中途半端な気持ちの年齢だからこそ、 ぶつかり合うのが怖いし、自分の腹のうちなんて見せない。 だから怖いんだよ。 心の中では忌み嫌いあってるのに、隠してる。 その上、不器用だから、隠し通すことも出来ない。 未希は疲れる性格だよ。割り切るって分かんないもん。 他人は、他人なんだから、気にしちゃダメ。 そう言い聞かせるくせに、全然身にはついてこない。 未希を脆いと思う。 弱いと思う。 でも、強いとも思う。 時々そんな風に出来る未希を、羨ましいとさえ思う。
私とは全然違う未希だから、一緒にいて、疲れたりもする。 腹が立ったりもする。理解できないとも思ったりする。 だけど、それすらひっくるめての未希は未希で、私は私。 別々の個体だけど、認め合えるから、それでいいんだと思う。 未希となら、傷つけあうことも、プラスに向いていくと思える。
あの子と未希の、確実に違うところ… 八方美人なところは、少しかぶるけど、悪口は言わない。 本当に大事なものを知ってる。 自分を責める心をちゃんと持ってる。 「認め合う」ことを知ってる。 だから、未希は私のPreciousなんだよ。 そんな未希のことが、ずっと大好きだから。
あの子と、一緒に居てあげる、それでいいと思う。 それでも未希は未希で、私の友達なんだから。
エゴの塊みたいな、自分だけど、認め合いたい。 逃げるのは終わり。
だけど、どうか気付いて… 簡単に信じていい人なんて、そんなに居ないの。 素直すぎる、優しすぎる未希は…常に危うい。 皆、仲良くなんて、出来ないの。 分かるよね? 汚い人間の方が、あきらかに多いことなんて。 私はうわべだけ仲良くすることに、意味なんて見出せない。 ごめんね。 未希のためなら、そうしようかと思う。 でもそれ以外に意味はないことやから。 そんな自分が嫌いなこと、本間にしたくない。 それは未希も分かってくれると思う。
信用って、そんな簡単なものじゃないよ…
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