大喜というその店は、富山駅前のビジネスホテル街に程近い広小路に面した場所にある。行列こそできてはいないが、昼時を過ぎた時間というのに、客の出入りが激しく忙しさが垣間見られる。
ラーメンを食べたいというよりは、餃子をつまみにビールでのどを潤したい・・・そんな気がする真夏の昼下がりだった。のれんをくぐり、カウンターに座る。メニューをみて愕然。餃子がない。ラーメン店にはギョーザがあるものという先入観を見事打ち砕かれた。ビールはあったのでほっとする。つまみになるものはと・・・
チャーシューがあるらしい。お願いしてみたら、すこぶる美味い。このチャーシューベースのラーメンなら美味いだろうなということでラーメン(中華そば)もたのんでみることに。ふつうだと、メニューに、「チャーシューメン」があるはずと思い、注文しようと思ったのだが、なかったので、しかたなく「ふつうのを」注文することにした。メニューには、「中華そば(小)」「中華そば(大)」「中華そば(特大)」とある。お店のおかみさんと思しき方に聞いてみると、「小」であたりまえの一人前の量であるという。
程なく出来上がってきたそれは、今まで出会ったことのない風貌をしていた。
濃い。限りなく濃い。そして、黒く澄みきっていた。イカ墨のような黒さではなく・・・本当に例えようのない黒さなのである。しかも、やはり、しょっぺー。つまみにしてたチャーシューがしっかりした味だったので予想はしていたが、これほど強烈とは。2本目のビールがあいた。こんなにしょっぺかったら、体に悪いべやと、はらがたってきたほどだが、スープに隠されたコクに騙され完食。
7年ほど前の夏の出来事なのだが、最近、よく思い出す。あの、強烈にしょっぺえ、体に悪そうな?味を前頭葉がほしがって仕方ないのだ。
そのラーメンの系統を「富山ブラック」と呼ぶらしいことを最近知って、なおさら恋しいのである。
ブラックに対局して、最近、富山ホワイトというラーメンの分野が確立しつつあるらしい。富山湾で獲れるシロエビをベースにした塩ラーメン・・・?詳細は不明なり。