北海道函館駅前近くの一角に、小さな立ち食いそば店があった。「まさむら」というパチンコ店に併設されていたので、通称「まさむらのそば」。長年にわたって、通りすがりの買い物客や近くの勤め人、タクシー運転手などに親しまれたその店は10年ほど前に経営者の都合(と聞いているが・・・)で、閉店した。
エビ天そば300円、野菜天そば280円、おにぎり1個70円といった、低廉な価格のメニュー揃えだったが、実に美味かった。
てんぷらそばに載せるかきあげ天は、直径10cm少々の円形を成しており、家の台所でまねをしてもなかなかその形にはならず苦労した。
しかたなく、5人前1000円のお土産そばとともに、その独特のかき揚げてんぷらもいっしょに分けてもらい、家族で年越しそばにして食した思い出がある。
最近になって、そのかき揚げの製法が偶然わかってしまい、
思い出に浸りながら、今年年末の年越しそばを楽しみにしている。
そのきっかけは、お好み焼きを作ったときのことだ。
家族分を焼き上げた後に残ったもとの粉を、もったいないからと思い、小さな直径10cmくらいのお好み焼き風チヂミ風円盤に焼き上げた。
出来上がったそれは何かに似ている。なんだろうと考えて行き着いたのが前出の「まさむらのかき揚げ」であった。
焼き上げたその円盤状の粉ものを、高温の油で揚げてみると・・・そうだ、これだ、間違いないっ。
まさに、「まさむらのてんぷら」が出来上がったのである。
これを茹で上げたそばの上に載せ、あつあつのつゆをかける。
年末に向けて、練習中である。今日も蕎麦かい?
年越し前に飽きそうである。