オラが住む街のある場所に住職不在となったため廃止されようとしている寺がある。それなり歴史がありそうなお寺なのだが、檀家減少のため、住職がいなくなってしまった。市内の名だたるお寺の住職が兼務して管理していたが、お年を召され、兼務を解消することになってしまった。最近、建物内の仏具などを整理するため立ち入った業者の方々が怪奇現象に遭遇し、皆、しり込みしてしまった。建物内に入ると、どこからともなく声が聞こえたり、風もないのに入り口の鈴が鳴ったりする。 そういったことには慣れているはずの葬儀業者の従業員まで逃げ出すしまつ。 どうやらそこを菩提寺とする霊たちが、廃寺されることに対して抗議しているらしい。
この話を偶然聞いたオラは、あるニュースを思い出してしまった。建設途中のダム工事を中止にするというあの話だ。どことなく、似てはいないか??生きている人間も、眠れる霊たちも感情は似通っているようである。
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