函館は言わずと知れた観光都市である。 食の宝庫ともいわるほどの美食の街でもある。 その函館にラーメン店が長期間、微増し続けている。 老舗といわれるお店も数々あるけれど、そういったお店ののれん分けではなく、新規参入の新しい名前のお店がここ数年で続々生まれた。 そこにどのような要因があるのか、考えてみたいと昨日思ったので、できるだけ今日中にまとめてみたい。 ただ、数値的な資料を駆使するようなレポではないので、あしからず。
数日前、衝撃的なニュースが駆け巡った。 函館市元町地区で、食のランドマーク的な存在として君臨していたフレンチレストラン「ル・クリマ」が、年内のうちに閉店するというのだ。前衛的な料理と選び抜かれたワインで定評ある若きオーナーシェフ関川氏が主宰する素敵なお店だった。 彼の閉店のあいさつに次のような一文がある。勝手に引用、お許しください。 【この地でのLe climat HAKODATEは一度幕を下ろしますが、次の新たな一歩を既に思い描いております。 一皿の上に「風土」を再現することにこだわりながらも、特別な「ハレの日」だけではなく、 いつもの毎日に寄り添えるような料理をご提供する。 そんな目標に向かって、動き始めています。】
そう、関川氏は気づかれたのである。 この街で「ハレの日」だけを想定した料理を提供し続けてもだめだ。もっと、大衆化しなければ・・・と。
以前別の場面でも書きましたが、ここ函館は庶民の可処分所得がとっても少ない貧乏な街です。そんな街で1年365日、手のかかる豪華な場面で提供する料理を作り続けても、無理なんです。 人々はもっとリーズナブルで、ボリュームがあって心身ともに満足できる外食を求めています。 現実、はやっているお店を見てみましょう。 ラッキーピエロ、カレーのこいけ、カリフォルニアベィビー、レストランデューク、・・・そしてあちらこちらのラーメン屋さんや蕎麦屋さんたち。みな、一人当たり1000円以内でおなかいっぱい食べられるお店ばかりである。 庶民は、こうしたお店をリピートし、外食を楽しんでいるのである。 ただ、ラーメン店にあっては、ちょっと供給過剰気味なほどに新店が増えている。そして、若き経営者が多い。なぜなのだろう。 これには実は簡単な仕掛けがあった。聞いて幻滅してほしくはないのだが、実はこういうこと。 ほとんどの新店開業の仕掛け人が同一だという事実があるのです。
函館圏内ラーメン新店相関図(編集中)
炙り→響→夏目 ↓ →バスラーメン花道 華月 ゼロワン いぶき
(横ラインは師弟関係、縦ラインは同一経営者による兄弟店舗。)
もちろん、このほかにも大門四代目など、この枠に入らない新店もあるが、有名新店のほとんどがこういうことだった。「炙り」は、のれん分けやフランチャイズチェーン構築を目指さず、弟子や兄弟分を駆使して、味の分店を行ったのである。 どうりで、みな、そこそこうまいはずだ。 ただ、あるこの系列のお店で店主が気になることを言った。 「俺、札幌でラーメン、食べたことないんすよ。食べる必要ないし〜」
これも函館人気質の現れなのか? これではだめだと思う。
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