夏は憂鬱 秋は憐憫 冬は退屈的日々雑記
そのツタヤの出入口のすぐ傍には飲料水の自動販売機が3つと、少し離れたところにひっそり、17のアイスの自動販売機が1つ佇んでいる。

DVDを返して店内から出ると、ひっそり、の方の自動販売機へ向かう。
ジーンズのポケットから小銭を出し、投入したところで気がついた。
1番左の列の上から3段目の期間限定のアイスが抹茶ショコラになってる、1週間前までは栗バニラだったのに。

昔から甘いものは好きじゃない、でもマロン味だけは別だった。
先々月の終わりにここで見つけて以来、ほぼ週イチでこのツタヤをつかうオレのささやかな楽しみだった、栗バニラ。
一瞬躊躇したけど結局は、なんかカッコ悪、返金レバーに指をかけた。
チャリンチャリンと100円玉と10円玉が落ちてくる音を聞きながら、もう冬なのかと思う。
そうして思い出した、もうすぐあいつの   じゃねーの。
毎日顔を合わせていた頃から数年、たまにむこうから用もないのに電話やメールがきていたが、ここしばらくは息をひそめている。

どんな菓子でもマロン味なら食べるオレを、くりはんたー、そう呼んだのはあいつだった。

元気にしてるんだろうか、柄にもなく感傷的になる。
家に帰ったら電話でもかけてやろう。
返金口から栗バニラにはならなかった2枚をポケットに戻して、バイクに跨がった。
きっとこの先、栗の季節が終わる度にオレは、あいつのことを思い出すんだろう。
そっと吐いた息はうっすらと ふ ゆ の し ろ さ。
2006 11/24 23:36:43 | none | Comment(0)
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