6歳歳が離れた兄の影響で、私の読む漫画は藤子不二雄モノ、少年ジャンプモノ、そのほとんどがどちらかと言うと男の子向けのモノばかり。それでも熱く、時に切なく、バトルや友情を描いた作品は大好きなモノばかりでした。
小学生も高学年になると周りの友達は少女漫画の雑誌を読むように。りぼんやちゃおやなかよしなど。そんな少女漫画は食わず嫌いだった私ですが、たまたま母が本屋で買ってきてくれたりぼんに掲載されていた作品。矢沢あいの「天使なんかじゃない」、背景もゴチャゴチャと書かれ、異様にデカイ目やキラキラした目が嫌いだった私ですが、彼女の絵はなんとも見やすい。セリフも少なく一気に読める。一話読んだだけで虜になってしまいました。
ですが、お小遣いももらっていないし、毎回買ってくれとおねだりも出来ません。りぼんを読んでいる友達に頼んで見せてもらっていました。そんな時、兄が誕生日プレゼントにとコミックスの第一巻を買ってきてくれたのです。私がそれほど好きなことを知ってくれていたのです。最初に手にした時の嬉しさはいまだに覚えています。はみ出しのオマケの部分まで食い入るように読みました。
連載は続き、中学生になってもどっぷりとハマっていました。主人公の翠と晃に憧れこんな恋愛をしたいなといつも妄想。実際は女子中、女子高だったので結局制服デートの夢も叶わないまま終わりましたが、素敵な学園生活の疑似体験をさせてもらえました。
学生ならではの文化祭や運動会、修学旅行。先生との恋、友達とのいざこざや後輩との確執、ちょっとした三角関係、親子のすれ違いや兄弟との絆、将来への不安と希望。まさに青春真っ盛りの女の子にこれでもかというほどたたみかけてきます。全8巻と巻数にしては決して多くないのにこんなに盛り沢山な内容で何度読み返しても面白くて泣ける。少女漫画をちょっとなめていた私の考えを変えてくれた作品でした。
コミックスが出揃う頃、意を決してお年玉でまとめて買い揃えました。遂に自分の手元にやってきたと、その日はひたすら読んでいました。その頃は「天ない」と略されかなりの人気がありました。続く「ご近所ものがたり」や「NANA」のヒットもこの作品なしでは産まれてなかったかもしれません。アニメ化されたりもしましたが、声優さんの声が、自分の中の登場人物達との声と違ったらイヤだったので見ることはありませんでした。自分が決められたらなと思っていた子はきっと私だけじゃないはずです。
主人公の翠の髪型や服装も可愛く、真似をしたいなと思っていましたが、自分には似合わないと決め込んでました。今の私が当時の私なら好きならとことんやれ、と全部取り入れていたかもしれません。そしてバイクに乗っていた晃、私が初めて付き合った彼も、漫画に出ていたようなバイクに乗っていて、後ろに乗せてもらった時には、翠と晃になれた気がしました。その彼と結婚し、さすがに子どもには“翠と書いてあきら”と読む名前は付けませんでしたが、最高のトキメキと青春をくれたこの漫画は本棚に大事にしまって一生読み返したい大切な漫画です。
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