思索に耽る苦行の軌跡

2007年 12月 02日 の記事 (1件)


――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





と閉ぢられた瞼裡の闇の虚空に仄かに輝きながらその輪郭を浮かび上がらせた私と全く面識のない赤の他人のその顔貌の持ち主の彼の人は、咆哮とも慟哭とも嗚咽とも歓喜の雄叫びとも、または断末魔とも解らぬたった一声を心の底から思いっ切り叫びたいのであらうが、既にその彼の人は恒常の《現在》といふ時間の流れに飛び乗って、つまり、彼の人にとっては時間が全く流れぬ彼の世へと既に旅立ってしまった故に、凝固したままぴくりとも動かぬ自身、つまり、《<em>x</em><sup>0</sup> = 1(<em>x</em> > 0):0より大きい数の 0乗は 1》のxたる《主体》は0乗たる《死》といふ現象により《完全なる一》たる《存在体》へと変化した故に最早その一声すら上げられぬまま《完全なる一》たる《存在体》として凝固してしまった自身に対して観念せざるを得ないことを自覚させる永遠の黙考の中に沈潜してしまった彼の人は、音若しくは声ならざる音未満の





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





といふ《声》を発してゐるのであった。それを例へてみれば超新星爆発後にエックス線など通常では観測されない電磁波などを発する星の死骸に似てゐた。





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





瞼裡の闇の虚空に仄かに浮かび上がった彼の人は、さて、《完全なる一》たる《存在体》に封印されてその頭蓋内の闇の虚空に何を思ひつつ彼岸へ旅立ったのだらうか。彼の人は死と共に《完全なる一》たる《存在体》に己が成り果せた事を束の間でも自覚し、歓喜したのであらうか。多分、その瞬間に彼の人は全てを悟った筈である。だが、それでも納得できない彼の人は





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





と《声》ならざる《声》を発せざるを得ない底知れぬ哀しさの中に封印され凝固してしまったのであらうか。私は彼の人に





――存在とは何ぞや。





等等問ふてみたが答えは全て





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





であった。多分、彼の人は既に《完全なる一》たる《存在体》から堕して腐敗といふ《完全なる一》たる《存在体》の崩壊へと歩を進めてしまったのであらう。





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





は彼の人の崩壊の《音》成らざる《音》なのかもしれない。





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





と、不意に瞼裡の闇の虚空に仄かに浮かび上がった彼の人の顔貌はゆらりゆらりと揺らぎ始め私の視線の先に忽然とゆるりと時計回りに旋回する渦の中心が現れたのであった。





――これがもしや中有なのか。





私の瞼裡に仄かに浮かび上がった彼の人の顔貌はそこでゆるりとゆるりと渦の動きのままに旋回し始めたのであった。





――ふう〜う。





私は何故かそこで煙草を一服したのである。正直なところ





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





といふ《音》成らざるその《声》は悲痛極まりなく私には煙草でも喫まなければ最早堪えられなかったのであった。





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





私はゆっくりと瞼を開け雪の純真無垢な顔を見ずにはゐられなかったのである。雪は全てを既に了解してゐたのかにこっと私に微笑み掛け





――存分にその苦悩を味はひ尽くしなさい。それがあなたの安寧の為よ。





と私に無言で語り掛けてゐた。





私は雪の頬笑みを見てほっとしたのか軽く微笑み再び瞼を閉ぢたのであった。





――うぅぅぅぅあぁぁぁぁああああ〜〜





(以降に続く)



2007 12/02 12:59:06 | 哲学 文学 科学 宗教 | Comment(0)
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