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最近、鳩山首相や尾小沢幹事長の政治資金問題でニュース・新聞は持ちきりです。
昨年末に鳩山首相の政治資金問題が
取りざたされたときは、
私のところにも
テレビや新聞社から取材が来ました。
ここで、鳩山首相の政治資金問題は
何が問題だったのかを
おさらいしてみたいと思います。
問題は大きく分けて2点あります。
(1)政治資金規正法違反
(2)贈与税脱税
(1)の政治資金規正法違反は、政治資金収支報告書の虚偽の記載を行ったという犯罪。
ではなぜ、母親からの寄付と記載できなかったのか?
これは、個人の1年間の寄付の上限額が150万円と決まっているため、
それを超える金額を母親1人からの寄附とすることができなかったためと考えられます。
(2)の贈与税違反は、当初政治資金収支報告書に記載されている金額は
自分のお金でそれを貸しているのだと語っていました。
しかし、出所を探してみると母親からのお金でした。
そこで、母親から借りたお金だと主張を変えました。
ここで、借りたお金と贈与を受けたお金の実際の取扱上の差異があります。
税務上は税務調査では
ある時払いの無期限無利息の貸付金は
贈与とみなしています。
国税庁のホームページ上でもそのように書かれています。
贈与ではなく貸付金として立証したければ、
・ 金銭貸借契約書等の書面を取り交わすこと
・ その書面の中に返済方法や利息についての記載があること
・ その内容に従った利息の支払いや元本の支払いがあること
・ 双方に貸した借りたという意思の確認があること
これらを確定実行させておく必要があります。
実際、われわれ税理士も
お客さんには、このように指導します。
鳩山首相の場合、これらを1つも実行していなかったのです。
一般国民であれば
金額も金額ですし、上記の証明性の無さから
一発で脱税です。最悪ですと懲役もつきます。
しかも、悪質性ありということで
40%の罰金も加算されます。
しかし、今回は
国税庁ではなく
地検に判断をまかされて
それに国税庁が従った形で、
贈与税の支払いは行ったが、
重加算税は課されなかったいう結果になりました。
今回の事件が、贈与税の対象ではないという結果になったら、
今までの税務調査の指導や国税庁の考え方も
問題になったと思います。
また、これがまかり通るのであれば、
贈与をしていても貸付だと言って
脱税を行うことが容易になったと思います。
この点では、なんとか国税庁の体面を保てた中での
地検のギリギリの決断だったのではないかと思います。
以上のようなことを
税理士としての立場と政治資金監査人という両方の立場からの
意見を求めたいということで
取材を受けたのが昨年末の取材の内容でした。
今回の小沢幹事長の問題は、
政治資金規正法違反
特に裏金問題になっています。
政治家の裏金の話はよく噂を聞きます。
事実なのであれば事実が正しく表に出て、それなりの裁きが下されることを望みます。
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