ということで発売から1週間強、ようやく読了した鮭家です。 もうね、有珠可愛いよ有珠という言葉を反芻しまくる作品でした。
…いやもちろんそんな安易なキャラ萌え作品じゃないんですけど。 中身はいつもどおりのきのこ節全開でした…が毒気はいつもより薄かった気がします。 でもいつものきのこで安心安定のTYPE-MOON作品。
以下、かなりネタバレを含むのでご留意。 まぁ勝手な思い込みも含まれてますのでそこも含めてご留意。
ということで、今回のおおよそのプレイ時間ですが、 4/12(木)にゲットしてから、ほぼ毎日2〜3時間アベレージで 24時間程度でしょうか。 読み進めるのが早い人なら十数時間というところですね。 大体Fateの1周分程度と考えていただければおおむね問題なし。
…あれはボリュームが破格やったんや…。
章としては13章構成。だいたい8章あたりで13章くらいかなーと きのこ慣れしていれば感じるはず。きのこフリークなら6章くらいで 感じるかも。 なお、本編に選択肢はありません。ひたすら読み進めていくのみ。 それから横道に逸れた形でいくつかのエクストラエピソードが ある模様。まだ読んでませんけど。
選択肢がないのは、あとに控える正史のためかもしれませんし、 ただの大人の都合かもしれません。 とにかく選択肢や読者の思惑など真っ向無視でひたすら突き進んで 行くスタイルになります。 選択肢が変に思考を妨げないので読みやすいんですけどね。
読者、と個人的に思っているのは、今回のが演出の非常に凝った 電子紙芝居、あるいは電子小説だと感じたからでしょうか。 選択肢などの自由意志はない分、テキストを追う以上に、画面で 繰り広げられる数々のエフェクト、アクションに目を奪われます。
で、またそんな中での有珠が可愛くて可愛くてもう可愛いんですよ。 ジト目とか驚いた顔とかちょっとした一挙手一投足がもう…!
閑話休題。
そんなわけで、やはり非常に良い出来を見せ付けてくれたわけです。 このあたりまでがシステム面。
ボリューム感だけで言うならば、フルプライスのエロゲに劣らない この値段設定はやや万人受けとは言いがたいですね。 というか青子ともっといちゃいちゃさせろと、有珠とベタベタさせろと。
…そこはファンディスクに期待ですね。TMのファンディスクといえばプール。 それはもう有珠好きにはたまらないシチュエーションとなることでしょう。 あ、海でも可ですね。あんまり海のない環境ですが、というかあの時代設定で 屋内プールのほうが難しいですね。
…またも閑話休題。
内容面ですが、思いがけずおっきいネタバレをするかもしれませんので 今一度ご留意ください。
まず舞台。三咲町といえば月姫で出てきましたな。 メシアンとか大帝都とか、どっかで聴いたことのあるお店の名前も ぽろぽろ転がってます。 で、有珠の学校が礼園女学院。制服も礼のアレです。 まぁこれはスクショみて一発の人も多いですよねぇ…。
で、話の流れですが、きのこに昔から付いていっていた人なら ご存知の通り、いわゆるただの姉妹喧嘩です。 どれくらいただの姉妹喧嘩かというと、結局死人が一人も出ないくらい。 なんというか、きのこらしくないこの残虐性の薄さ、なんて思ってしまう あたり、毒されてるというかなんというか。 まぁきのこ氏の作品は昔から明らかな悪役以外の主要キャラは基本的に 全員生還ではありますが。 今回は明確な悪もないですし。
まぁ、バトル自体は結構やってますし、そこそこ痛々しい表現もある …のですが、月姫をはじめてプレイしたときのような狂気みたいなのは あんまり。
今回の印象としては、日常の間に非日常が挟まる感じだったので、Fateの ような非日常のなかの一時の日常、みたいな感じとは対極ですね。 まぁ、メインヒロインに殺意向けられる主人公格の男の子、ってのも あんまりないような…と思いかけてこれまでずっとそうだったことに 気付きました。 ここまで無力な男の子だったことは初めてでしたが。
でも、今回の話はあくまで青子の話なので、どっちかというと青子が 主人公なのかもしれません。 ちょっとどうかと思うかもしれませんが、今回は「誰が主人公」と いうのすら希薄な作品構成でした。
話の構成でいえば間違いなく青子の物語でありながら、読者が感情を 移入すべきは草十郎という第三者。なかなか無い独特な構成です。
…間違いなく好き嫌いの分かれる要因ですね。
でも、有珠に若干肩入れされている気がする数々の表現はどうなん だろうというくらい、異常に有珠が可愛く書かれてる気がします。 私が単純に無口チャラのデレが好物というのもあるのでやたらに フィーチャーしてるだけ、という可能性も十分に。
最後に、草十郎の出自ですが、個人的にあれは宗一郎先生と同じものと 読み解きました。 もしかしたらFateやったプレイヤーに対するミスリードかもしれませんが。 しかし結局首の包帯の謎は明かされないままでしたね。
さて、本編読んで書きたいことは大体こんなもん。 残念ながら本編読みきった今も若干もやっと感はあるのですが、 これはこれで納得するとしましょう。
何らかの形でアフターストーリーとか出ることを期待して。
ちなみに総合点数としては。 きのこ信者、TYPE-MOON信者としては8点。 もし初見できのこ信者でもなければ6点。
ある意味、これまでのTYPE-MOON作品をプレイしてきた人への壮大なファンディスク、という気がします。 逆に言えばこれをTYPE-MOON作品のなかで最初にプレイするという選択肢だけはナイというのが感想。 可能なら月姫を、そして空の境界を知った上でプレイしていただきたい作品だと思いました。
|