この階段を降りなくてはホームへ絶対行けません。
突然エレベーターがある事に気付きました。ところが故障です。
しばらくすると駅のスタッフらしき若い男性がこちらに来ます。私はその男性が荷物を持ってくれると確信しました。が、なんということでしょう、彼はこちらを見ながら行き過ぎました。
私が降りられなくて困っていることは雰囲気でわかったはずです。この男なんて冷酷なの、なにがレディファーストよ、私はどこから見てもレディよ、とものすごい怒りが生じました。
しかし冷静になり〜私は旅男さんを見逃したはずは無い。階段はここしか無い。そしてこの階段を降りているはずは無い〜と思えるのですが、すでに発車の時刻です。

己の道は己で切り開く!と、大荷物を階段から一段降ろしてみました。
何と、いとも簡単にケースを持ち上げられました。
---火事場のくそ力だったのでしょうか---
降りてみるとホームに列車が、アア間に合った!
しかし、すでにホームに人はほとんどいません。旅男さんまでいません。
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あの男一人でさっさと乗車したの?
指定席のチケットを持っているのは彼、私が番号を覚えていると思っているの、なんと愚かな。
私はドルをほとんど持っていないわよ。
一体どうすればいいのよ。
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私はアメリカで一人ぼっちになってしまった、どうしよう、と心臓の鼓動は高鳴り、頭は真っ白に。
突然あっ、カードを持っていた、ボストンのホテル名もメモしてある、一人でもボストンにいける!と気付きました。
ホッとし、さて、列車には乗るべきか否か、と悶々としていると、ホームの遠くの方から、大型スーツケースを引いて急いで来る男がいます。
旅男さんです。彼は彼で怒りを全身で表しています。
我々は一悶着あって無事にアムトラックに。
ホームへ降りる階段がもう一つあり、彼は流れに逆らえずに、そちらから降りたそうです。
彼は彼で、ホームへ降りたらすぐに会えると思ったらしく、私がいつまでも降りてこないので焦ったようです。
そして、まさか一人で乗車してしまったとは思えず、ホームの端から端まで往復していたそうです。
映画で見るこのすれ違い場面、現実に起こりえるものと驚き、我々は以後、ほぼピッタリと一緒に行動しました。