11月上旬、青山真治監督の最新作となる映画『サッド・ヴァケイション』を見てきた。
アート寄りで、作家性が前面に出ている作風ではなく、すごくわかりやすい作りに驚いた。
こういう映画も撮れるんだな〜と思ったよ。

この映画が見たいと思った理由はごく単純なところにあって、
『ユリイカ』(2000)の梢(宮崎あおい)が、この作品に再び登場していることを
なにかの映画紹介で偶然知って、彼女の「その後」を知りたい・・・と思ったんよね。
ただそれだけだった。
ところが、見に行く3日前になって、ネット上でこれまた偶然に、
これは『Helpless』の続編であり、主人公も同じく健二(浅野忠信)である・・・ことを知る。
おいおい、昔、WOWOWの青山真治特集で見たと思うがすっかり忘れてるぞ!
こりゃまずいぞ・・・てことで、すぐにレンタル店にダッシュしてDVDを借りてきて、
見に行く前日の夜に鑑賞。
いや〜これは見ておかないといけない作品だったわ。間に合ってよかった(笑)。

そんなドタバタがあって、見に行ったこの映画。
導入部も最後の着地点も、こちらの予想や期待とは全く違う方向へ向かっていたから
びっくりしたし、もやもやしたし、どうも満足しきれなかった。
青山真治監督は、女性がもつ「母性」を描きたかったそうだけど、
「すべてを包み込む大きなもの」・・・という意味での母性を表現したつもりが
「すべてをとりこんでいく大きくて強いもの」と伝わるように仕上がってしまってた。
だから見終わったあと、あたたかい穏やかな気持ちにはならず、
「女性は強い」「女性は怖い」という印象が残って、なんか落ち着かない気分になった。

作風はわかりやすくなったのに、あっちこっちでちょこちょこ説明不足なのも欠点。
思わせぶりなシーンを出しておいて、それがなんの伏線にもなっていないとか、
なにかありそうなのにそのエピソードは描いていないとか。
健二の物語で、その主軸はブレていないけど、よけいなことをしているよね。
これは青山真治監督が1人よがりになってしまった結果なんだろうと思う。

期待が大きかっただけに、どうしても粗探しみたいな感想になっちゃうな〜。
出演者はみんな演技が上手いし、見せるカットもあるし、音楽も良かった。
オール北九州ロケで、あの土地の空気感まで自然に伝わってきた。
浅野忠信とオダギリ・ジョーの2ショットなんて、スクリーンで見ると凄いよ。

もっと良くなる、良くできる作品なのにな〜、もったいないな〜という印象なんだけど、
レンタルに並んだら、借りてきてもう一度見てみようと思う。
違った見え方、感じ方になるかもしれない。
2008 01/27 10:46:30 | 映画 | Comment(0)
Powerd by バンコム ブログ バニー

この記事へのコメント

この記事にコメントする

名前:
メールアドレス:
URL:
セキュリティコード  
※セキュリティコードとは不正アクセスを防ぐためのものです。
画像を読み取り、入力して下さい。

コメント:
タグ挿入

サイズ
タグ一覧
Smile挿入 Smile一覧