2004年2月〜の日記から抜粋したものです。
※投稿日時は日記の内容とは関係ありません。
日差しが、ぱかぱかと開いていた。
午前の用事をすませ、電車にのりこんだ。

座席に座り、お気に入りのスカートの裾をなおした。
隣の人の広げている、きれいな色の本が目に入った。
見たことのないタッチと色づかいで、挿画集のようだった。
作者は日本人なのか、外国人なのか・・・知らず知らずのめりこんで見つめていた。




そのうちページが変わらなくなった。
外をみた。あと2駅。。
ゆっくり発車した。
隣の人の手はまだ動かない。
ふいに口をきかれた。
「次の・・」
「?」
「駅は、なに駅ですか?」
「・・・○○駅です。」
初めてその人の表情をみた。
困ったようなかおだった。

きしんで進む電車の窓に、日ざしの粒がはじけてとんでいた。
もうその人は、次のページをめくってはくれなかった。
閉じられもせず、結局その本の表紙を見ることはできなかった。

わたしの駅についた。


―あれは、何の季節だったっけ。








2005 08/20 20:04:30 | none | Comment(0)
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