夏は憂鬱 秋は憐憫 冬は退屈的日々雑記
勝 ち 目 の な い 恋 を し て し ま っ た 。
オレが好きになったおんなはオレらの担任のことが好きで、つまりせんせーとせーとの関係のくせに、担任もそいつのこと満更でもなく思ってるように見える。
オレに足りないのはなんだ。
そんな答は簡単で、オレには足りないものだらけ。
18のこーこーせーと28のこーむいん、金だって知識だってなんだって、あっちに軍配があがる。
しかも身長だってあっちのが高いときた。
オレに残されたのは若さと、じゃにーず系と言われる面くらいなもんだ。
外見に騙されて言い寄ってくるおんなは掃いて捨てるほどいて、でもそんなやつらに興味なんてなくて、たまに気が向けば付き合ったけどぜんぶだめだった。

夏季講習なんてかったるくて死にそうだけど、夏休み中あいつに会えないのはもっと死にそうで、こうしてわざわざ出てきてんのに今日最後の講習がおわるとすぐにあいつはどこかへ消えてしまった。
かばんは机の上にあるから戻ってくるだろうと、ほかに用もないのに教室に居つづけて、なにやってんだオレ。

「あれ、まだ残ってたの?」
諦めてって言うか腹が立ったり減ったりでもう帰ろうと思って教室を出ようとしたところで鉢合わせ。
「なにやってたの、暇人」
「うっせー。おまえこそ、」
なにやってたんだ、言おうとしてやめた。
どうせあいつと一緒にいたんだろ、わかりきったことだ。
こいつの顔が見たくて待ってたくせに見たら見たでむかついてきて、どうせ勝ち目のない恋だ。
手首を掴んで引き寄せるとくちびるにくちびるをぶつけてやった。
前歯どうしをぶつける、なんてヘマはしないけど、ベロねじ込んだら歯を立てられて、ぎゃってなった。
からだひとつぶん離れた隙に歯を立てた張本人は、オレの横をすり抜けて机からかばんを掴むと反対のドアから、
「死にさらせ!」
実に彼女らしい台詞を吐いて走って逃げた。
あーあ、やっちまった、一気に脱力したオレのベロからすこしにじんだ血の味と一緒に、あまいソーダの気配を感じてなんか夏だなぁと思った。
2006 05/24 23:59:59 | none | Comment(0)
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