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9月に入って早々、
国税庁から発表がありました。
国税庁は、7月の最高裁判決で二重課税との判断が示されたのを受けて、
保険業界と還付方向を検討してきました。
判決では、1年目の年金については、所得税分を違法としたが、
2年目以降については判断を示していませんでした。
この点について、国税庁と保険会社で協議が
行われていました。
そして、
昨日、この件についての取り扱いの具体的な発表がありました。
「年金払い方式の生命保険金に
相続税と所得税を課していた二重課税問題で、
財務省と国税庁は10月下旬から、
所得税の還付を始める方針を固めた。」
これにより、
生保二重課税に該当する人は
10月下旬から還付の申告をする必要があります。
還付申告をしないと
もちろん、還付の権利があったとしても
税金は戻ってきませんので、
気を付けてください。
それでは、
どうやって、その該当者かを
知るのか?
それは、大きな保険会社においては、
該当者に該当する契約者に書面等で
通知してきます。
この通知書が届いた方は
忘れずに所得税の還付申告をしてください。
今回決まった方針は、大きく3点です。
・ まず還付申請の時効前の5年分を対象とする。
・ 年金払い方式の個人年金保険や学資保険も含める。
・ 契約者には、国税庁から依頼を受けた各生命保険会社が通知する方向です。
救済措置を表明していた5年超の還付については、
法的な措置が必要なため、引き続き検討するとのことです。
そもそも、
この「生保二重課税」とはどういうことでしょう?
これについて、簡単に説明したいと思います。
相続が発生した際に、相続財産の中に生命保険金がある場合、
相続税の対象となります。
この相続税の対象となる生命保険金に対して、
相続後に受け取る際に所得税も課税されている。
これは、二重課税ではないか?
これが発端です。
そして、一時金で受け取った保険は相続税の課税対象とされましたが、
所得税はかかりませんので、二重課税の問題はありませんでした。
一方、“年金”で受け取った額は、
60%相当額(この割合は、ケースによって異なります)が
相続税の課税対象とされた上で、
さらに、毎年受け取る年金にも所得税がかけられたのです。
つまり、相続税と所得税が二重に課税されたわけです。
この部分が、
今回裁判で二重課税と断定され、
二重課税分の所得税は
納税者に戻すべきであるという
処置を現在行っていこうとしています。
今までは、
この二重課税、当たり前として処理されていただけに
今回の裁判のインパクトは大きく、
また、この案件に該当する人の数、還付金額ともに
大きなものになると想定されています。
もう1度言います。
該当する人は、
自らが還付申告をしないと
税金は戻ってきません。
税務署や会計事務所に聞くなりして、
必ず、
還付の手続きを行ってください。
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