狼狽売りの現代の形、投信の解約が始まったらしい。利益確定による解約ばかりではないから、手数料分が損切りになる人や、損切り覚悟の人もさぞ、多かろう。サブプライム問題への恐怖感が、投資家のみならず、一般大衆へも浸透し始めた結果だろう。見方を変えれば、恐慌の始まりにも見て取れる。
株式投信の解約額8割増、サブプライム問題が影響
株式に投資する投資信託の解約が増えている。投資信託協会が13日発表した10月末の投資信託概況によると、資産額で投資信託の8割を占める株式投信の10月の解約額が1兆8360億円と、前月(9987億円)に比べて約8割増えた。
米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題の影響で、株価の不安定な状態が続いているためとみられる。金融市場の混乱が長引けば、「投信離れ」が広がる可能性も出てきた。
同協会によると、株式投信の設定額から解約額と償還額を引いた、資金の純流入額も3660億円と、前月(7438億円)の半分にとどまり、今年7月(798億円)に次ぐ低水準に落ち込んだ。投資信託協会の金子義昭副会長は、「投資信託会社などによる株式投信の設定額自体が、好調だった今年前半に比べて細っている。市況の影響だろう」と分析している。
株式投信の内訳では、国内株式型は資金が940億円も流出した。一方、中国やインドなどの新興国に投資するファンドの人気は根強く、海外株に投資する国際株式型は1716億円の流入となった。
大和ファンド・コンサルティングの広瀬明徳・ファンド調査部長は「昨年後半から、国内株投信からの資金流出が続いている」と指摘する。さらに、最近の株価下落で、好調だった新興国型の海外投信などにも利益を確定させる売りが出て、解約の増加につながったという。
(2007年11月14日0時33分 読売新聞)