ウルトラQ第二十三話「南海の怒り」です。
この作品は怪獣物、パニック物としてはよくできていたと思います。 大洋、海というものは雄大ですが、やはり何者がひそんでいるかわからないという怖さもあるのですね。
冒頭船長とその息子と見られる青年が漁船の操舵室で船を繰っていました。 ところが魔の海域と恐れられていたコンバス島近海でその漁船は何者かに襲われました。
船長は息子の雄三を助けるため、自分は波間に消えます。 その他の乗組員もみな遭難し、雄三のみが助かりました。
雄三はコンバス島に流れ着き、島の娘のアニタに助けられたのでした。 アニタの話では船を襲っているのは、スダールという大ダコで、島民も犠牲になっている。 ただしそのために外敵も近づけず、守り神にもなっているというのでした。
だから誰もスダールを倒そうとは言わないし、戦おうともしないのでありました。
そこへ万丈目淳、戸川一平、江戸川由利子の三人が船舶遭難の原因を調査するために、島に来ました。
そして淳はスダールに襲われそうになったアニタの弟を助けます。
淳達はスダールを倒すべきだと主張します。 島民はもちろん反対。 アニタでさえなかなか動きません。
だがついに雄三の熱意に負けてアニタはスダールの居場所を教えます。 そして淳の連絡により、国連の爆撃機が出撃して、スダールのいる場所を爆撃するのでした。
ところがスダールは島に上陸してきます。 島民達もついに立ち上がり、スダールと戦うのでした。
そしてついにスダールは倒されます。
雄三は島に残りアニタと結ばれるのでした。
登場怪獣のスダールは大ダコなのですが、たかが大ダコ、されど大ダコという感じでけっこう怖い存在となっております。 怪物度は十分でしょう。
欧米では元々けっこう恐怖の対象となっているのですね。
東宝特撮作品でも「キングコング対ゴジラ」「サンダ対ガイラ」「フランケンシュタイン対バラゴン、海外版」の三作に出演しております。 それから元々円谷英二氏は大ダコが大洋を航行する船舶を襲うパニック映画を構想しており、それが「ゴジラ」になったというエピソードもあるそうです。
だから東宝特撮のMONSTER系作品にとって「大ダコ」は十分な元祖MONSTERなのかもしれないです。 もちろんこの作品でも「キングコング対ゴジラ」のフィルムは流用されたようですが。 「海の怪物」が航行する船舶を襲うというのは古今東西昔から多くあったようで、パニック物の原典の一つなのかもしれません。
今回はスーツは使用されていないはずで、繰演と実写がメインとなったはずですね。 動画とかも使用されたのかな・・・。
主人公ともいうべき雄三に久保明さん。 御存知東宝特撮では多くの作品に御出演です。 中でも一番印象に残っているのが「マタンゴ」でしょう。
「マタンゴ」と本作品では南海の孤島が舞台ということでは共通点がありますが、ラストが全然対照的であるということがかなり面白いですね。
アニタを演じたのが高橋紀子さん。 東宝特撮では「フランケンシュタイン対バラゴン」に御出演です。 後に俳優の寺田農さんと御結婚されましたね。
監督:野長瀬三摩地 特技監督:的場徹 脚本:金城哲夫
おお金城哲夫さんですね。 何か御出演もされていたようですが。
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