2009年 11月 11日 の記事 (1件)


ウルトラマン第二十三話「故郷は地球」。

いよいよこの作品を紹介できる日がまいりました。

日本で、開催予定の国際平和会議に参加する各国の代表が乗った飛行機や船が次々に爆発するという事件が起こりました。

パリ本部からアラン隊員がこの事件の調査のために、派遣されてきました。

そしてある夜、ひき逃げ事件を起こした車がパトカーに追跡されていたのですが、この車もやはり爆発したのでした。
それはまるで現在頻繁に起こっている事件に似ていたのです。

そして警察とともに科学特捜隊も調査したのですが、見えない壁にぶつかったようだということでした。
また科学特捜隊の車もこの壁にぶつかり、爆発してしまうのでした。

科学特捜隊員は何とか爆発の直前に脱出したのですが、見えないロケットに遭遇しました。
これまでの一連の事件はこの見えないロケットのしわざであったのです。

イデとアキコがビートルに乗って、レーダーで追跡しましたが、そのロケットは逃げてしまいました。

科学特捜隊は振動と保護色によってロケットを消していることを突き止め、イデの発明したスペクトルα、β、γ線を放射してロケットの姿を発見しました。
そしてビートルの攻撃でロケットを森の中へ撃墜したのです。

その森の中を捜索する、科学特捜隊の前に巨大な怪獣が現れました。
全身ひび割れた皮膚を持つ不気味な人間型の生物でした。
アランはその怪獣を見て声をあげました。

「オオッ、ヤッパリ、ジャミラ・・・」
「何だって」ムラマツも驚きます。
「ジャミラ、オマエハ・・・」

科学特捜隊の攻撃が始まりました。
怪獣は逃げていきます。

アキコがふと気がつくとアランは攻撃にも参加せずに立ち尽くしているばかりなのでした。

科学特捜隊の探索は夜に入っても続けられました。

アキコは言いました。
「いったいどの星から来たのかしら・・・」

ムラマツはアランに怪獣を見た時になぜジャミラと言ったのかを尋ねました。

アランの回答は意外な恐るべきものであったのです。
「ショクン、アレハカイジュウデハアリマセン。
 アレハイヤカレハ、ワレワレトオナジニンゲンナノデス」

現在米ソを中心に行われている宇宙開発競争が行われていた頃の話でした。
ある国の打ち上げた有人の人工衛星が行方不明になってしまったのです。
その衛星の宇宙飛行士がジャミラだったのです。

そしてその国は科学の発展のために人間を犠牲にしたことがわかると大変であると考え、その事実を隠しました。

「ジャミラは宇宙を漂流してかろうじてある星に着いて、何とか生き延びた。
 だがその星には地球のような空気も水もない異常な気候だったため、彼はあのような姿になってしまった」ムラマツはそう言いました。

アランがさらに続けました。
「オソラクカレハナンジュウネンカ、カカッテノッテキタロケットヲツクリカエモドッテキタノデショウ。
 ジンルイニタイスルウラミトノロイノココロダケヲモッテ」

イデが叫びます。
「俺やめた。ジャミラと戦うのをやめたんだ」

アラシとムラマツが説得に当たりますが、イデはおさまりません。


しかしアランは感情を殺した機械のような声でこのように言ったのです。
「ショクン。
 アラタメテカガクトクソウタイパリホンブカラノメイレイをツタエル。
 ジャミラノショウタイヲアカスコトナクヒミツリニホウムリサレ。
 ウチュウカラキライッピキノウチュカイジュウトシテホウムリサレ。
 ソレガコクサイヘイワカイギヲセイコウサセルユイツノミチダ」

イデは
「ばっかやろーっ」と叫ぶのでした。

ジャミラが村々を遅いながら、国際平和会議場に近づいてきます。

駆けつける科学特捜隊員達。
火炎を吹くジャミラにイデが叫びます。

「ジャミラ、てめえ、人間らしい心は無くなっちまったのかよ!」

一瞬だけひるむジャミラでした。

しかしまた前進を始めるジャミラに、防衛隊は火炎放射で攻撃しますが、全然効果はありません。
ジャミラは火には強かったのです。

そこで今度は人工降雨弾をジャミラの上空で爆発させ、激しい雨をジャミラに降らせるのでした。
これは効果がありました。
ジャミラは苦しみ、のたうちまわります。

ですがやはり倒すまでには到りませんでした。

ジャミラは最後の力を振り絞るようにして、立ち上がりついに国際平和会議場の万国旗を踏みにじりました。
恨みと呪いを込めんばかりにして・・・。

そこへウルトラマンが登場。
最初は格闘していましたが、ウルトラ消火器を発射。
ジャミラに水をかけます。

この攻撃が効き、ジャミラはついに倒されました。
しかし断末魔でも会議場に手をかけようとしていたのです。

そして国際平和懐疑は無事に開催されました。

科学特捜隊員によって建てられたジャミラの墓碑銘はこう読めました。
「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂、ここに眠る」

ムラマツはこう言いました。
「ジャミラ、許してくれ。
 だけど良いだろう。
 こうして地球の土になれるのだから。
 お前の故郷、地球の土だよ」

科学特捜隊員は黙祷すると、イデを残して立ち去った。

でもイデは心の中で叫んでいました。
「犠牲者はいつもこうだ。
 文句だけは美しいけれど!」

ムラマツ、アラシ、ハヤタが読んでもイデは動こうとはしなかったのです。

このように非常に重く暗い後味の悪い作品となっています。
でもそれだけ印象に残っています。
本作品は何度観ても飽きることはありません。

ウルトラセブン「ノンマルトの使者」と同じぐらいの比重を感じています。

ジャミラの造型もけっこういいです。
そして元々人間なのですね。

実相寺作品らしい重さです。

アラン隊員のセリフもなかなか残ります。
作品中に使いまわされたアランとイデのセリフを、そのままで掲載致しました。

またこの放送時は宇宙開発競争のまっただ中であったのですよね。
だから作品中に言われている時期であったのです。

ちょっとした風刺も入っているのかもしれないです。

脚本    佐々木守
特殊技術  高野宏一
監督    実相寺昭雄
撮影(本編)内海正治
  (特撮)佐川和夫
ゲスト   ピエール・ピロッツ(アラン)
2009 11/11 21:36:22 | none | Comment(0)
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