第二十六話「怪獣殿下・前編」です。
大阪のある団地を数人の小学生達が歩いています。
そのなかの一人オサム君は 「怪獣は絶対にいる」と言っています。 彼は怪獣殿下と呼ばれているほどの怪獣大好き少年だったのです。
ですが友人達は 「怪獣などいない」と彼を笑っているのでしたが・・・。 彼が今度の万博に怪獣を出すために、大学の偉い先生達が捕まえに行っているという話しも 「それは化石や珍しい植物を採集するためさ」と一蹴されてしまうのでした。 もちろんこれは友人達の意見の方が正しいのですが・・・。
でもオサムの夢は果てしなくひろがっていました。 見慣れた風景も彼の目には怪獣の登場しているジオラマとなるのでした。
その頃科学特捜隊のアラシ隊員は、阪神大学の中谷教授の学術調査隊一行とともに、南太平洋の未開の無人島ジョンスン島に渡っていました。 アラシはその射撃の腕前を中谷教授に見込まれて一行に加わっていたのです。
アラシはテントの中で中谷教授に、一億五千万年前に生息していたとされる、ゴモラザウルスの絵が描いてある学術書を見せられました。 この島のゴモラの砦と名づけられた場所にゴモラの化石があるのかもしれないというのでした。 その時大きな咆哮のようなものが聞こえ教授もアラシも驚かされました。
その翌日、学術調査隊はあの吸血植物スフランに襲われたりして、苦しみながらも奥地へと進んでいきました。
そしてある岩山の前でまたあの大きな咆哮が聞こえました。 学術調査隊が岩山を見ると、突然岩壁が崩れ始め、中から一匹の怪獣が姿を現わしました。
それこそゴモラザウルスであったのです。 ゴモラは化石ではなく、まだ生息していたのでした。
アラシが攻撃しようとすると、中谷教授はゴモラを生け捕りにしようと、言い出すのでした。
ゴモラを日本へ移送する仕事は科学特捜隊日本支部へ依頼されました。
ムラマツ隊長は 「本来怪獣の移送などは科学特捜隊の仕事ではないのだが、万博のため致し方ない」と言いました。 その移送方法として、麻酔弾を使いビートルで運ぶという作戦をたてました。
ワシントン大学のスミス博士が開発した、二発のUNG麻酔弾が届くとアラシがそれをゴモラに撃ち込みました。 やがてゴモラは眠ってしまいました。
ビートル三機による、万博会場予定地である、六甲山への空輸が始まりました。
六甲山一帯には万一の事態を予想して非常線が張られていました。
アキコもそこへ駆けつけます。
オサムとその友人達は、自衛隊員やアキコの隙をみてその非常線を突破したしまったのです。
その頃ゴモラが麻酔から目覚めで、空輸中のネットの中で暴れだしました。 このままでは、ビートルもろとも墜落してしまうと判断したムラマツはゴモラを切り離しました。
ゴモラが二千メートル上空から墜落しました。 これを見たオサムの友人達は 「ゴモラはもう助からない」と言います。 でもオサムは 「これぐらいで死ぬもんか!」と答えたのでした。
そしてゴモラは生きていました。 それどころか、墜落したことで、昔の旺盛な生活力を取り戻し、恐るべき怪獣に変身してしまったのです。
オサムはハヤタに発見され、パトカーで自宅に送り返されました。
大阪侵入を食い止めるための科学特捜隊と自衛隊の攻撃をものともせずに、ゴモラは地中に姿を消してしまいました。 ゴモラは大阪のどこに姿を現わすかわからなくなりました。 大阪市民は恐怖のどん底に落とされました。
一方中谷教授と科学特捜隊は、見晴らしのよい大阪タワーのゴモラ対策本部に集結しました。
このような厳戒態勢においても、オサムは団地近くの建設現場で、ウルトラマンのお面をかぶり、友人の一人と怪獣ごっこをやって遊んでいました。
そこへゴモラが現れたのです。
オサムは友人にこのことを知らせに行かせ、自分は棒切れを拾い 「ウルトラマ〜ン」と叫びます。
すると本当にウルトラマンが飛んできたのです。
ウルトラマンとゴモラは激しく闘います。 そのウルトラマンの激しい攻撃にもゴモラはひるみません。 もみ合い取っ組み合う両者。
その時何か小さな物がオサムの前に落ちました。 それはハヤタがウルトラマンに変身する時に使うフラッシュビームでした。
ゴモラのパワーにウルトラマンは大苦戦。
特にその長い力のある尾で何度も叩かれます。 体勢は何度も崩され、気を失いかけてしまいます。
そしてウルトラマンは何とかスペシウム光線を放とうとしましたが、ゴモラはまた地中へ潜ってしまいました。
ウルトラマンが初めて怪獣を取り逃がしたのです。
ウルトラマンは空へ去っていきました。
前・後編二部作というのは「ウルトラQ」では一本もなかったので、ウルトラ作品では初ということになります。 「ウルトラセブン」では三本あるのですがね・・・。
一話完結が、当時続き物であり、ライバルとされていた「マグマ大使」との最大の違いでありましたから、リアルで観た時はちょっと不満でした。 一週間待つというのはけっこう辛かった?(笑)。 そのように考えたということが、今では楽しい思い出ですがね。
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