ウルトラマン第三十三話「禁じられた言葉」です。
航空記念日にアキコは弟のサトルとハヤタと三人で、航空ショーの見物に行っていました。
飛行機好きのサトルが夢中空を見ていた時、不気味な声が聞こえてきます。
その声は 「サトル君、飛行機が空を飛ぶのは当たり前だ。私が面白いものを見せてあげよう」と言いました。
すると何とタンカーが空を飛んで来たのです。 また飛行機が雲の中に次々に消えていきます。
驚くハヤタ達三人。 ムラマツから連絡が入ります。 航空ショーはテレビでも実況中継されていたので、ムラマツ達にも確認されたのでした。
ハヤタ達は科学特捜隊専用車に非難しますが、サトルの耳にまたあの声が響きました。 「ハッハッハ、私の力は大したものだろう」その声は哄笑するのでした。
そしてタンカーや飛行機が次々に爆発します。 いったい何が起きたのか、また何者がこのようなことをしたのでしょうか。
科学特捜隊本部に来ていた岩本博士は、逆引力とも言うべき現象だと説明しました。 ただ自然に起こるものではないようでした。
岩本博士の要請でアラシ、イデの乗るハイドロ・ジェットをつけたビートルが、宇宙の調査へ向かいました。
宇宙空間では、先ほど爆発したジェット機の破片等が漂っていました。 二人は怒りを覚えました。 ところがその破片の中に科学特捜隊専用車が見えたのです。
驚く二人ですが、ハヤタ、アキコ、サトルの三人の姿はなかったのでした。 そして必死の捜索にも三人は見つからなかったのです。
重苦しい雰囲気の科学特捜隊に二十八番街に巨大なアキコが現れたという連絡が入りました。
ムラマツ、アラシ、イデと岩本博士の四人が現場へ駆けつけます。
攻撃しようとする警官隊を何とか押しとどめて、四人は屋上に上りアキコに声をかけますが、アキコにはわからないようです。 どうも意識をコントロールされているようでした。
その頃サトルの方は一人の宇宙人と会っていました。
宇宙人はメフィラスと名乗り、そこは彼の宇宙船の中だったのです。
彼は 「地球とサトルが欲しくなった。だが暴力は嫌いなので、力づくで奪うやり方は好きではない。だから君の了解が欲しいのだ。 一言、『地球をあなたにあげましょう』と言って欲しいのだ」と話します。
もちろんサトルは 「嫌だ!絶対に嫌だ!」」と断りました。
するとメフィラスは今度は宇宙空間の輝く星々をサトル見せ「好きな星にいかせてやる」とか、「永遠の命を君にあたえる」とか手を変え品を変えてサトルを説得しようとしますが、これにもサトルの心は動きません。
サトルは 「自分だけ幸せになってもうれしくなんかない」と断りました。
ついにメフィラスは、怒りサトルを無重力室に叩き込んでしまいました。
そこへハヤタが現れメフィラスを笑うのでした。 「地球を売り渡すような地球人はいない」と言います。
メフィラスはこれに 「黙れ、ウルトラマン!きさまは宇宙人なのか、人間なのか」と言い返しました。 ハヤタがウルトラマンであることは知っていたようです。
ハヤタは 「両方さ。貴様のような宇宙の掟を破る奴と戦うために生まれてきたのだ」と言うとフラッシュビームを点火しようとしました。
だが一瞬遅く、メフィラスの金縛りの術にかかってしまいました。 立ち尽くすハヤタ。
また今度はメフィラスはアキコに「暴れろ!」と命じたのです。
巨大なアキコがビルを破壊し始めました。
警官隊が攻撃しようとしますが、またイデ達が何とかそれを止めました。
すると巨大なアキコが姿を消し、突然バルタン星人が現れました。 続いてケムール人が、その次にザラブ星人まで姿を見せます。
メフィラスは凶悪だった彼らをも自由に操れる力を持っていたのです。
ただまたメフィラスはこう言いました。 「私は連中のように暴力をふるうのは嫌いだ。人間の心に挑戦するのだ」
そして宇宙人達もみんな姿を消しました。
アキコはサトルと同じ無重力室の中に閉じ込められていました。 苦しむ姉弟でした。
その頃地球側も怪電波を探知して、メフィラスの宇宙船の居所を確認していました。
ジェット戦闘機隊が出撃、宇宙船の攻撃を開始します。 しかし宇宙船から発射された怪光線により次々と爆破されていきます。
そこへビートルが到着しさらに攻撃を続けました。
怪光線はビートルにも発射されますが、こちらの方はそれをものともしません。
そしてムラマツ達は宇宙船の中へ入り、アキコとサトルの二人を救出しますが、ハヤタを助けることはできませんでした。
しかし宇宙船の振動でハヤタは倒れ、フラッシュビームが点火、ウルトラマンが登場します。
ウルトラマンとメフィラスが対峙します。
ウルトラマンはメフィラスに 「自分の星へ戻れと」言い、メフィラスは 「スパイめ!」と言い返しました。
ウルトラマンが八つ裂き光輪を発射すると、メフィラスも両手から光線を発射してこれを破壊します。
空を飛んで光線を射ち合う両者。 その後は取っ組み合いますが、互角です・・・。
ただウルトラマンは戦えるのは三分間という弱点があったのですが。
しかしメフィラスは突然戦いをやめてこう言いました。 「よそうウルトラマン。宇宙人同士が戦っても仕様がない。私が欲しいのは地球の心だったのだ。だが子供にさえ負けてしまった。でもいつか必ず私に地球を売り渡す人間がいるはずだ。その時はまた来る」と言ってどこかへ去っていきました。
ハヤタも姿を現わし、全員が無事を喜びあいました。
番組の最後のナレーションは 「地球を売り渡すような人間になってはならない」と警告するのでした。
この通りなかなか考えさせる物語でした。
本当にサトル以外の人間だったら、「あなたに地球をあげます」と言ってしまったかもしれないです。 子供の方がやりやすいという考えだったのかもしれませんが、裏目に出たのかもしれません。
ただなぜこのようなやり方をとったのかは不明ですよね・・・。
暴力は嫌いだと言いながらも、物語の冒頭でジェット機のパイロットやタンカーの乗組員の命を奪っているのですから・・・。 後半でもジェット戦闘機隊をかなり撃墜しています。 信用できるはずがない。
ただその気になればもっと強力な方法で地球を攻撃できるかもしれないのに、やらなかったのでしょうね。
アキコを巨大化して意識をコントロールするというのも強大な力です。
まああの三体の宇宙人達は幻影であったかもしれませんがね。
ところでその巨大フジ(アキコ)隊員というの有名ですね。 ある番組で、ロコさんが怒っていましたよ。 一体の怪獣扱いされていると。
撮影もけっこう大変だったそうですよ。
この時の警官隊にいつもスーツアクターの中島春雄さんが人間それも警官役で御出演なのには笑えました。 確か一番初めに攻撃しようとしたのでしたよね。
また岩本博士が今回は伊藤久哉さんが演じられていらっしゃいます。 ピンチヒッターだったのでしょうか。
またビートルが光線を跳ね返すほど強くなっていたのにも驚きました。
それからこの頃になるとムラマツ隊長以下の科学特捜隊員も、ハヤタがウルトラマンであることを薄々感づいていたのかもしれないです。
ハヤタを宇宙船に残した場面などそれを感じましたね。
見所の多い作品でした。
脚本 金城哲夫 特殊技術 高野宏一 監督 鈴木俊継 撮影(本編)鈴木斌 (特撮)佐川和夫、鈴木清
ゲスト 岩本弘司(サトル) 加藤精三(メフィラスの声)
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