ウルトラマン第三十七話「小さな英雄」です。 これももけっこう残る作品でしたね。
ある日銀座のデパートに真昼間からピグモンが現れました。
驚いて逃げ惑うデパート客達。
やがて警察官もやってきたがどうすることもできません。 ついに科学特捜隊が出動しました。
科学特捜隊が到着すると、人間達の大騒ぎを尻目にピグモンは昼寝をしていました。
アキコがピグモンを旧知の友人のように起こしました。 ピグモンは科学特捜隊員の姿を見ると、何事かを訴えるように大騒ぎし始めました。 それを見た科学特捜隊はピグモンを引き取り、イルカ博士と言われる東西大学の権田博士にピグモンの言葉の翻訳を依頼したのです。
しかしさすがの権田博士も解読には悪戦苦闘でした。
また科学特捜隊に基地でもイデがアラシに非難されていました。 アラシが頼んだスパイダーとマルス133の修理が完了していなかったのです。
そこへムラマツとハヤタが基地に到着、まもなくピグモンの言葉が解読されそうだというのです。 ハヤタがその翻訳機の進捗を訊ねると、それも終わっていないというイデでした。 それを聞いてハヤタも驚き呆れます。
その夜ハヤタがイデの仕事場をコーヒーを持って訪れました。
イデにはあるわだかまりがあったのです。 それは彼がいくら新兵器を作っても、科学特捜隊ががんばっても結局敵を倒すのはウルトラマンだ、というのです。 また科学特捜隊の存在さえも疑っていたのです。
イデはそのようなことを思い悩み、自分の仕事のペースが遅れていたのです。
ハヤタはそのようなイデを励まします。
スーパーガンやスパイダーショット、マルス133も立派に敵を倒した。
アントラーに青い石を投げつけなかったら、ウルトラマンは倒されていたかもしれない。 ケムラーと戦った時も、科学特捜隊がマッド・バズーカを撃ち込まなかったら、ウルトラマンは亜硫酸ガスの犠牲になっていたかもしれない。
持ちつ持たれつだよ、と。
でもイデは力なくこの疑問を繰り返すだけだったのです。
その夜ピグモンが狂ったように騒ぎ始めました。
何と、かってウルトラマンと科学特捜隊と戦って倒された、大岩山にテレスドンとドラコがよみがえったのです。 両怪獣は少しの間だけ闘いましたが、すぐにそれをやめ何かを待つように動きを止めたのでした。
翌朝ようやく怪獣語のアルファベットが解読されました。
自動翻訳機も何とか完成して、さっそくピグモンの言葉が解読されます。 それは驚くべき内容でした。
「カガクトクソウタイトウルトラマンニタオサレタ、カイジュウタチガジェロニモンノチカラデ、イノチヲフッカツシテ、カガクトクソウタイニフクシュウスルタメ、ソウコウゲキをカケル・・・」
また後五時間で、世界中から六十匹以上の怪獣が集結する。 その前に超能力で怪獣達を復活させた怪獣酋長ジェロニモンを倒せと言うのでした。
科学特捜隊はピグモンの案内でビートルで出動しました。
ピグモンはドラコとテレスドンが現れた大岩山に科学特捜隊のビートルを案内しました。
ムラマツはピグモンをビートルの留守番に残し、自分と、アラシ、フジはテレスドンの攻撃に、ハヤタ、イデをドラコに向わせました。
イデは空を見上げ 「ウルトラマンが今に来るさ」などと言っています。 ハヤタは 「馬鹿を言え!ウルトラマンは我々が力いっぱい戦った時だけ力を貸してくれるんだ」と否定します。
でもイデは力なく空を見上げるばかりです。 二人はドラコを攻撃しますが、スーパーガンではさすがに倒せませんでした。
ムラマツ達の方は三人のスーパーガンを合わせて光線を発射するトリプルショットで、テレスドンを倒しました。
戦う気力のないイデを見て、ハヤタは逆に一度は手に取ったフラッシュビームをしまいました。 このままではイデが駄目になると思ったのです。
ドラコが迫って来ます。
しかしイデはドラコと戦うどころか、 「ウルトラマーン、ウルトラマーン」と空に向って叫ぶ始末です。
その時ドラコの側にピグモンが現れ、ドラコの注意を引き、イデを助けようとしました。 一瞬ピグモンが岩に足をとられます。 ドラコは怒りピグモンを一撃で叩きつぶしてしまいます。
ハヤタが駆けつけたときもはやピグモンはこときれていました。 呆然とピグモンの遺体を見ているイデ。
ハヤタの怒りが爆発して、イデの胸倉を掴みます。 「ピグモンでさえ、命を賭けて我々人類のために戦ってくれたんだぞ!科特隊の一員としてお前は恥ずかしいとは思わないのか!」 ハヤタがイデを地面に叩き伏せました。
イデの中で何かが目覚めました。 「僕が、間違っていた・・・。くそっ」
イデはこう叫び新兵器スパーク8をスーパーガンにセットして、ドラコに向けて発射しました。 ドラコはあっというまに分解、消滅してしまいました。 もの凄い威力の兵器でした。
そこへジェロニモンがついに姿を現わしました。
ジェロニモンは無重力を生み出す霧を吐いて、ムラマツ達三人を空中に舞い上げてしまいます。 ハヤタもここでウルトラマンに変身、三人を助けました。
ジェロニモンとウルトラマンの対決となりました。
ジェロニモンは自分の尾にある羽を念力であやつってウルトラマンに飛ばします。 何本かの羽が体に刺さり、苦しむウルトラマン。
ウルトラマンは空に飛び上がると羽も追ってきます。 今度はウルトラマンが念力で羽の動きを止め、スペシウム光線でこれを叩き落しました。
ウルトラマンが向かってくると、今度はジェロニモンは例の霧を吐きつけてきます。
ウルトラマンもすかさずバリヤーを張り霧が戻ってきて、ジェロニモンが舞い上がってしまいました。
ウルトラマンはジェロニモンを持ち上げます。 そしてイデの方を向いて、攻撃せよとばかり促すのでした。
イデはウルトラマンの意図を理解して、スパーク8を発射。 ジェロニモンは消滅、イデによって倒されたのでした。
狂喜乱舞するイデ。 そして駆けつけた、アキコ、アラシ、ムラマツもイデを祝福しました。
アキコは 「イデさんは今回の英雄ね」と言いました。
「英雄ならここにもいるぜ」 ハヤタがピグモンの遺体を抱えて現れました。
ムラマツはピグモンに科学特捜隊名誉隊員の称号を与えました。
そしてピグモンの霊に黙祷を捧げたのでした。
このようなこの作品は悲しい結末で終わっています。 最初と最後でこれほど違う作品も珍しいでしょう・・・。
トクタサツオはもちろんリアルで観ておりますが、ピグモンの死はやはり悲しかったですね。
そしてイデ・・・。 この人はなかなかおっちょこちょいでひょうきんな割にはすごくデリケートというか、悩む姿が時折見られるのです・・・。
「オイルSOS」「故郷は地球」「まぼろしの雪山」しかり。 「怪彗星ツイフォン」でも 「人間ってずるい生き物だな・・・」とかありましたね。
主人公のハヤタ以上に残るキャラかもしれないですね。 イデ隊員だけで外伝が書けそうですよ。
それからウルトラマンとジェロニモンの対決は、超能力合戦ともいうべきもので面白かったです。
また六十匹の怪獣って・・・。 「ウルトラQ」の怪獣を含めてもそれほどいましたっけ?
今度数えてみようと思います。 「キャプテンウルトラ」や「ウルトラセブン」の怪獣はナシだぞ!
これもブログのテーマになりますね。
脚本 金城哲夫 特殊技術 高野宏一 監督 満田 撮影(本編)鈴木 (特撮)佐川和夫 鈴木清
ゲスト 浅野進治郎(権田博士)
満田・金城コンビですね。
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