ウルトラセブン第二十六話「超兵R1号」です。
地球防衛軍は、地球防衛国際委員会の瀬川博士、宇宙生物学の第一人者である前野律子博士の協力で惑星攻撃用超兵器R1号を完成させました。 このR1号は水爆8000個分の爆発力があるのでした。
ウルトラ警備隊の面々はみんなこの超兵器の完成に喜色満面でした。 兵器の力だけでなく、地球を狙わんとする侵略者達への脅しにもなるからでした。
でもなぜかモロボシ・ダンだけは浮かない顔です。 またこのR1号の実験が48時間後に行われると聞いて、ダンの顔はますます悲壮な影を帯びてくるのでした。
廊下でダンはフルハシに詰め寄ります。 「フルハシ隊員、地球を守るためなら何をしても良いのですか?返事をして下さい」
ダンは参謀に会いに行こうとするのですが、フルハシはそのようなダンを止め、メディカルセンターへ連れ込みました。 フルハシ「忘れるなダン。地球は狙われているんだ。今の我々の力では守り切れないような強大な侵略者がきっと現れる。そのときのために」 ダン 「超兵器が必要なんですね」 フルハシ「決まっているじゃないか」 ダン 「侵略者は超兵器に対してもっと強力な破壊兵器を作りますよ」 フルハシ「我々はそれよりも強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!」 そしてダンはこう言いました。 「それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」
もちろんフルハシもダンの言うことはわかる気がしたいたし、メディカルセンターにいたアンヌも驚きます。 アンヌさえもこの超兵器の完成に喜んでいたのでした。
しかしR1号の実験は予定どおり行われることになりました。 その標的にはシャール星座の第七惑星ギエロン星が選ばれました。
遂にR1号は発射され、そしてギエロン星は木っ端微塵に爆破されたのでした。
R1号の実験は成功です。 タケナカ参謀以下、ウルトラ警備隊のダン以外のウルトラ警備隊の面々も大喜びです。 ただアンヌは先ほどのダンの言葉を思い出し、やや不安になっていました。
そこへ宇宙観測艇8号からギエロン星から攻撃を受けたという通信が入り、8号の通信が途絶えました。 作戦室は大騒ぎとなります。
前野博士は、ギエロン星には生物がいるわけはないと叫びます。
また宇宙パトロールに向っていたウルトラホー1号から、ギエロン星からまっすぐに地球に向う飛行物体を発見したという報告が入りました。 それはR1号の爆発のショックで、強大な怪獣に変身したと思われるギエロン星獣だったのです。
ホーク1号には、フルハシとダンが搭乗していました。 ダンはパトロール中も、この実験を何としても中止させるべきであった、と後悔していましたが、フルハシとともにギエロンを攻撃します。
ギエロンは生身で宇宙空間を飛ぶばかりか、ホーク1号の攻撃や隕石との衝突をものともせずに、ついに地球に降りたちました。 そして踊りまわるように歩いています。
地球防衛軍作戦室では、瀬川・前野両博士が自分達の責任を悔やんでいました。
ウルトラホーク3号が飛び立ち、新型ミサイル攻撃。 今度はさすがのギエロンも、その母星と同様に木っ端微塵に爆破されました。
これを聞いた防衛軍の一同は一安心。 先ほどまで反省の弁を述べていた瀬川博士などは、R2号の開発を決意、宣言する始末です。
ところがギエロンは復活するのでした。 何という恐ろしい力でしょうか・・・。
直ちにウルトラホーク1号と3号が向い、花咲き乱れる草原でギエロンと再決戦です。
ギエロンはウルトラホークの攻撃にも倒れず、黄色いガスを吐き出します。 それは放射能でした。 これもギエロン爆発で受けた影響でしょうか、放射能を吐き散らす怪獣でもあったのです。
作戦室では瀬川博士がR2号での攻撃を主張しますが、さすがに誰も賛同しませんでした。
このままでは東京も放射能に汚染されてしまいます。
ギエロンは倒れるどころか、逆にホーク1号がギエロンの両翼から発射されるリング状の光線で損傷、草原に不時着しました。
放射能の嵐の中、ダンは一人ギエロンの方に向っていきウルトラセブンに変身するのでした。
ウルトラセブンとギエロンの対決になりました。
セブンのアイスラッガーが跳ね返されます。 またギエロンの両翼の反射光や、例のリング状の光線でさすがのウルトラセブンも大苦戦です。
それでもセブンは何とかギエロンの懐に飛び込み、その右翼をもぎ取りました。 そしてこの翼で風を起こしギエロンを苦しめ、最後にこれを投げつけます。
この攻撃にさすがのギエロンも倒れました。
そこをすかさずセブンがアイスラッガーで喉元を切ったのです。
ギエロンは遂に絶命しました。
事件解決後、地球防衛軍タケナカ参謀は、R2号の開発の中止の提案をメディセンターで治療中のダンに伝えるのでした。
ダンは喜びますが、そのベッドの横で無邪気に車輪で遊ぶシマリスの姿を見て再びその顔は暗く沈むのでした・・・。
それは「血を吐きながら続ける苦しいマラソン」を連想したからなのです。
このように最後に問題提起する作品です。
当時盛んに行われていた、世界各国の核開発競争を風刺しているのだと思われます。
ギエロンがちょっと可哀想ですね・・・。 そしてけっこうウルトラセブンも残酷な技を使いました・・・。
けっこう印象的な作品の一つです。 ウルトラセブンの中で時々作られた暗く重い作品の中の・・・。
脚本 若槻文三 監督 鈴木俊継 特殊技術 的場徹 撮影 永井仙吉 美術 成田亨・岩崎致躬 特殊撮影 鈴木清
ゲスト 向井淳一郎(瀬川博士)田村奈美(前野博士)
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