本日も午前から晴れました。
そして気温も上昇。
夏の一日という感じでした。
そしてまた「暑さ」から「麦藁帽子」を連想し、この詩を思い出しました。
--母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね? ええ、夏碓井から霧積へ行くみちで、 渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ。
--母さん、あれは好きな帽子でしたよ。 僕はあのとき、ずいぶんくやしかった。 だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
--母さん、あのとき、向うから若い薬売が来ましたっけね。 紺の脚絆に手甲をした---。 そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。 だけどとうとう駄目だった。 なにしろ深い渓谷で、それに草が 背丈ぐらい伸びていたんてすもの。
--母さん、本当にあの帽子どうなったでせう? そのとき傍に咲いていた車百合の花は、 もうとうに枯れちゃつたでせうね。そして、 秋には、灰色の霧があの丘をこめ、 あの帽子の下で毎晩きりぎりすが鳴いたかも知れませんよ。
--母さん、そして、きっと今頃は、
--今夜あたりは、 あの渓間に、静かに雪が降りつもっているでせう。 昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、 その裏に僕が書いた Y・Sという頭叉字を 埋めるように、静かに、寂しく--。
森村誠一氏原作で、1977年にも映画化された「人間の証明」でこの作品の源となったことで、紹介されました。
トクタサツオはもちろんこの時知ったのですが、本当に心に残るいい詩でございます。
それからジョー山中さんの歌もよかったですね。
レコード持っていましたよ。
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