ウルトラマン第十五話「恐怖の宇宙線」です。
こちらはちょっと変わったお話でした。
ある小学校の教室での出来事。 ムシ歯という生徒の描いた絵はオリジナルの怪獣ですが、「オタマジャクシみたいだ」とみんなに笑われてしまいます。
「大きくなればいいかもしれない」と考えたムシ歯は、空き地に積みあげられた土管にさらに大きなそのオリジナルの怪獣ガバドンを描いたのでした。 この空き地には、子供達の天敵ともいえる、雷おやじがいるのですが、その目を盗んでの作業でした。
ところがその夜、異変が起こります。 東大の宇宙線研究所は地球に降り注いでいる、宇宙線に奇妙な変動を発見していたのでした。
そして翌日、その空き地に変な物が出現していました。 その変な物はいびきをかいて寝ているのでした。
「怪獣だ〜」と誰かが叫びました。 「わ〜い、ガバドンだ!俺の描いたガバドンだ〜!」とムシ歯も大喜びです。
宇宙線の変動が、土管に描かれていた怪獣の絵を本物にしてしまったのでした。 ただその怪獣はやはりおたまじゃくしと魚のあいのこのようなぶかっこうな姿のうえに、寝ているばかりです。
雷おやじも驚くばかりでした。
科学特捜隊が出動して、攻撃を加えるとガバドンは逃げ出します。
でも港まで逃げてくると、包囲する科学特捜隊や防衛隊を尻目にまたまた高いびきです。
「こちらが仕掛けなければ、奴は寝ているだけ」とイデが言いました。 「こんな怠け者の怪獣は始めてだわ」とアキコも呆れます。
やがて夕闇が迫ると、ガバドンはようやく移動を始めました。
「攻撃用意!」 科学特捜隊と防衛隊の猛攻撃が開始されようとしますが、ガバドンは夕闇に溶け込むように消えてしまいました。
ガバドンが透明になって消えた後には星が光っているばかりです。
「一番星、みいつけた」と歌声が入ります。
ガバドンは星になってしまったのでしょうか・・・。
パリ本部から連絡が入り、スイスや南アフリカでもこの宇宙線の異変により、同様の事件が起こったと伝えられました。 ハヤタも絵が怪獣になったという話を思い出して、ムラマツ隊長に話ました。
その頃ムシ歯は友人達に今回の事件について、賞賛されていました。 ただもう少しかっこよくということで書き直されました。
ガバドンは前よりはだいぶ怪獣らしくなって、また朝に出現しました。 でもやはり寝ているばかりです。
それでもガバドンが街を独占することになり、日本経済に打撃を与えるということがわかり、科学特捜隊は再び攻撃を決定しました。
ムシ歯と彼の仲間の子供達は、逆に 「ガバドンよ、もっと怪獣らしくなってくれ」などとお願いをするのでした。
翌日ガバドンはまた現れました。 科学特捜隊と防衛隊が激しく攻撃します。
ガバドンは川辺の方へ向かいました。
ところがここで、科学特捜隊は橋の上で 「攻撃をやめてくれ」と叫ぶ子供達を発見しました。 ハヤタが慌てて救出に向かいますが、誤って川に転落流されてしまいました。
ここで、ウルトラマンに変身!
ガバドンはやはりウルトラマンの敵ではなく、蹴飛ばされたり、投げ飛ばされたり、負けてばかりです。 ムシ歯達はそれでもガバドンに声援を送り、ウルトラマンを非難します。 ですがとうとうウルトラマンに宇宙へ運ばれていってしまいました。
事件後のある夜、ムシ歯と仲間の子供達はふてくされ、悲しみながら、あのガバドンがウルトラマンと戦った川辺にいました。
するとそこへウルトラマンの声が聞こえてきました。 「泣くな子供達よ。 毎年七月七日の七夕の夜、きっとガバドンに会えるようにしよう。 この星空の中で」 というものでした。
ウルトラマンが夜空にの中に星座のように映りました。
そしてムシ歯が 「雨が降ったらどうするんだよ〜」と叫ぶとガバドンの姿もまた星座のように映ったのです。
ガバドンの星座の目の辺りから、星がまるでその涙のように降りました。
そしてまたその翌日。
ムラマツ隊長以下、科学特捜隊の隊員達は、広場いっぱいに描かれた子供達の絵を見て、愕然とするのでした。
このように、解説も長くなってしまいました。
ウルトラで時々観られる、メルヘンチックな作品でした。
落書きが本物の怪獣になるというのは、馬鹿げていますが、恐ろしいといえばいえます。
ガバドンはまるで、強くなく変な怪獣の一つですね。 造型はともかくとして、怪物度はかなり低いと思います。
ウルトラマンも怪獣と闘って非難されるのは始めてだったでしょう。
ゲストは雷おやじに原保美さん。 名優が変な役を演じていらっしゃいました。
またムシ歯の仲間の子供の一人で、「青影」役の金子吉延さんが御出演でした。
そしてこの作品は実相寺昭雄監督作品です。
ガバドンが消えていく背景に夕闇がうまく使われていますね。 このようなシーンはうまいですねさすがに。
またイデがアキコに抱きつく場面があります・・・。 やはり二人は? 前回はやはり実相寺監督作品でしたが、二人は買い物に行っていましたね・・・。
ラストはまた少し考えさせています。
脚本 佐々木 守 特殊技術 高野 宏一 撮影(本編)内海 正治 (特撮)佐川 和夫
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