2006年 06月 の記事 (2件)


    ぼくが死んでも 歌などうたわず
    いつものようにドアを半分あけといてくれ
    そこから
    青い海が見えるように

    いつものようにオレンジむいて
    海の遠鳴り教えておくれ
    そこから
    青い海が見えるように

                    寺山修司

  
   月があんなにも神秘的に私たちを惹きつけるのは、じぶんで耀いていないからかもしれない。

  私たちは、光によって、その存在を、他に認識されている。私たちに、自ら発光できる能力は備わっていない。触れても、匂っても、聞こえても、見えないものは、実質存在の有無につながってしまう。

  そこには、たしかに、ある。しかし、それを、可視させるものは、光だ。光がなければ、私たち人類は、進化さえできなかった。

  私の伯父は、白内障を病んで、壮年期に視力を失った。私が4歳くらいだっただろうか。伯父は、私に、「故郷」を教えてくれた。

  忘れ難き、ふるさと。

  視力を失いつつあった伯父にとって、掠れ行く故郷のたたずまいは、万感の思いを吃逆させていたのかもしれない。

  私は、幼いくせに故郷を口ずさむ、異様な子供だったようだ。断片的に残る記憶の中に、伯父のその姿は、小さく幽かだ。下の伯父によって、ようやく、全ての歌詞を記憶できたその日、伯父は、血を吐き、倒れた。

  視力をなくし、尚、不治の病を得た伯父は、私が小学校に入学してからしばらくのち、逝った。衰弱憔悴の果て、兄妹に見守られながら、その生き様に似て、静かに、愚痴をなにひとつこぼさず身罷った。

  大好きだった柑橘類を、その墓前に供えることが、現在、母の日課となっている。

  ひとも他によって光を得ると言い換えられるだろう。耀きは、他によって、もたらされる。

  ならば、伯父は、その38年の生涯に於て、一度でも、光に包まれた事があったのだろうか。それを、伯父の年を随分追い越してしまった私は、時々、思い出しては、胸が詰まってしまう。

  伯父の墓は、朝日がふりそそぐ場所にある。
2006 06/30 11:15:54 | none | Comment(0)
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思想別ハッピーバースデー ]

理想主義 : お誕生日おめでとう!

資本主義 : 誕生日プレゼントのために一日中買い物したよ

懐疑主義 : 君の誕生日だなんて信じられない

実存主義 : 君の誕生日は僕には何の意味もない

共産主義 : みんなでプレゼントを分け合おう

封建主義 : 君がもらったプレゼントは私のものだ



A「なあ。きみは患者に恋したことがあるか」
B「ああ。医者だって恋はする。たまたま相手が患者だったというだけさ」
A「・・・そうか。そうだよな。患者に恋したっていいんだよな」
B「なんだよ、もしかしてお前」
A「うん・・・。立場上、許されない恋かと悩んだこともあったけど、お前の話を聞いて安心した。
 患者に恋するのはいけないことじゃない。恋はすばらしい。恋の炎は誰にも消せやしない」
B「でも、お前は獣医だろ」


長距離夜行列車にて。高校卒業記念に旅に出た3人の若者は、4人がけの席に座った。男ばかりの気安さで盛り上がっていると、
「あのう。ここ、あいてますか」
見上げれば、かわいい女の子が一人で立っている。喜んで座ってもらったのは言うまでもない。
今度は4人で楽しく盛り上がった。
若さをもてあましている男と女。夜がふけ、周りの席が静かになってくると、話は少しずつエッチな方へと移っていった。

「ねえ。一人100円ずつくれたら、ふとももの蚊に刺された所、見せてあげる」
女の子が笑いながらこんなことを言うと、3人は即座に100円を取り出した。女の子はスカートをめくり、ふとももをあらわに。
「うおー、すげぇ」と、うれしげな男3人。

「ねえ。一人1000円ずつくれたら、胸の谷間のほくろ、見せてあげる」
今度も3人はすぐに1000円を払った。女の子はシャツの胸元を大胆に開けてみせた。
「うおー、すげぇ」

「ねえ。一人10000円ずつくれたら、盲腸の手術した所、見せてあげる」
3人は、待ちきれないように10000円を払った。30000円を手にすると女の子は立ち上がり、窓の外を指差した。

「ほら見て。あの病院よ」



その男はなんとかして融資を受けようと、銀行の融資担当窓口で長い間熱弁をふるった。ついに融資係が言った。
「あなたへの貸し付けが成功するかどうかは五分五分ですな。なかなか判断がつきません。……よろしい、それではこうしましょう。実は私の片方の目は義眼なのですが、それがどちらか当てられたら、融資するとしましょう」
男は融資係の目をじっと見つめた。その義眼はとても精巧にできていて、本物の眼とまるで見分けがつかなかった。やがて、男が答えた。
「右目が義眼ですね?」
「これは驚いた」融資係は言った。「今まで誰一人として当てた人はいなかったのですが、どうして分かったのです?」

「いや、簡単なことですよ。右目にはわずかながら人間らしい光が見えたのでね」
2006 06/28 02:31:35 | none | Comment(0)
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