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雪は終始愉快なやうであった。即ち、私が愉快であったのである。他者は自己の鏡である。雪が愉快だととふことは取りも直さず私が愉快だったことが雪に映ってゐただけのことに違ひない……
*******つまり、渦の紋様が、つまり、古の昔から存在してゐて、つまり、しかもそれが、つまり、人類共通の、つまり、紋様だったことは、つまり、知ってゐるね。
――ええ。アイヌの方々の衣装を見ただけでも自明のことよ。日本は、勿論、唐草紋様は特に世界共通の渦紋様だわ。……それが物理数学的に未だ数式で記述できないって事が不思議でならないわ。
*******つまり、そこなんだ、つまり、問題は。つまり、僕の、つまり、直感だけれども、つまり、渦を、つまり、数式とかで記述するには、つまり、∞の次元が、つまり、自在に、数式で、つまり、操れないと、つまり、記述できないと、つまり、思へて仕方がない……。
――∞の次元 ? ねえ、それは何の事 ?
*******つまり、此の世は、つまり、アインシュタインのやうに、つまり、四次元であるといふのが、つまり、一般的だが、つまり、君は、つまり、特異点を知ってゐるね。つまり、人類が、つまり、未だ渦を、つまり、物理数学的な数式で、つまり、記述できないことが、つまり、この世界を、つまり、量子論と相対論とを、つまり、統一できない、つまり、根本原因だと、つまり、その歪が、つまり、特異点として、つまり、現れて、つまり、人類は特異点の問題を、つまり、姑息な手段で、つまり、成るべく触れずに、つまり、取り繕って、つまり、何事か、つまり、世界が物理数学で、つまり、記述できると、つまり、錯覚してゐたい、つまり、穴凹だらけの地面を見て、つまり、《この土地はまっ平らな土地だねえ》と、つまり、錯覚してゐるに、つまり、過ぎないのさ。
――えっ ? もっと解りやすくお願い。
*******つまり、僕の直感だけれども、つまり、渦は、つまり、四次元以上、つまり、∞次元の、つまり、四次元での、つまり、仮の姿に、つまり、過ぎない。そして、つまり、渦は、つまり、此の世の結び目、つまり、四次元時空間を、つまり、宇宙として繫げてゐる、つまり、結節に違ひないのだ。
――つまり、銀河の事ね。パスカルじゃないけれど、二つの無限の中間点が……渦といふ事ね。そして、人間もまた……渦といふことね。
*******さう。
――うふ。
*******つまり、渦が、つまり、物理数学的に記述できるといふことは、つまり、《無限》の仮面が、つまり、剥がれる、つまり、時さ。そして、つまり、人類は、つまり、此処に至って漸く本当の《無限》に、つまり、出遭ふのさ……
――本当の《無限》 ?
*******つまり、人類が、つまり、無限大を、つまり、∞といふ《象徴》で、つまり、封印したことが、つまり、間違ひの元凶だったのさ。しかし、∞といふ、つまり、象徴記号が、つまり、なかったならば、つまり、科学の発展は、つまり、もっともっとゆっくり進んだに違ひない……つまり、ねえ、君、人類は、つまり、得体の知れぬものに、つまり、《仮面》なり、《象徴記号》なり、《名前》なり、つまり、付けられずに、つまり、堪へられる、つまり、生き物だらうか ?
――さうね……《心》がその典型ね。きっと無理ね。
――……
――ねえ、うふ、《得体の知れぬ》あなたは、形而上で呼吸をしてゐる《不思議》な生き物ね……。ドストエフスキイ曰く、あなたは《紙で出来た人間》の眷属なの、えへ。
*******さうかもね、へへ。つまり、《魂の渇望型》の、つまり、生き物さ。さて、……その、つまり、陰陽魚太極図だけれども、つまり、僕の勝手な、つまり、解釈だけれども、つまり、東洋、つまり、特に日本は、つまり、陰陽===>太極で論証する、つまり、弁証法に比べたら、つまり、曖昧模糊とした論証だけれども、つまり、しかし、陰陽===>太極で思考する方が、つまり、深遠だと思ふ。
――さうね。さうかもしれないわ。
*******君は、つまり、今、つまり、道元と親鸞に、つまり、心酔してゐるね ?
――さう……。キェルケゴールの「あれか、これか」だったかしら、エイブラハムとその子イサクについての基督者の姿勢が書かれてゐた筈だけれども……私……《論理》を超えた《言葉》を……今……渇望してゐるの。それが道元と親鸞なのよ。《神》無き仏教に惹かれるの。それに、私、神が傍若無人を人間に働く「ヨブ記」が大嫌い ! !
*******でも、つまり、ブレイクもキェルケゴールも、つまり、「ヨブ記」に耽溺してゐた筈だが……
――さうね、基督者にとっては「ヨブ記」はある意味、信仰の《踏み絵》ね。確か、ドストエフスキイもさうだった筈だわ。
*******つまり、砂漠の地で生まれた、つまり、ユダヤ教、基督教、回教、何れも、つまり、《自然》といふ名の《神》は、つまり、皆、つまり、悪意に満ちてゐなければならなかったのさ。つまり、彼らは、つまり、それ程過酷な地で生きなければならなかったのさ。
――うふ。それで世界は《秩序立って》ゐたのね。だから、私には虚しい《論理》と《科学》が発展したのね。
*******さう、つまり、《理不尽》にね……。
――さうなの、西洋の《論理》は《理不尽》なのよ。
(以降に続く)
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