思索に耽る苦行の軌跡
――さうね、《自由》《平等》《友愛》を掲げ、神をその玉座から引き摺り落とし《理性》が神の玉座に座ったフランス革命が好例ね。ブレイクもフランス革命における人間の愚劣さを「The French Revolution」として著してゐるけれども、人間が《自由》のど真中に抛り出されると如何に《愚劣》か……さうよね、あなたの言ふ通りかもしれないわ……、人間は《自由》を持ち堪へられないのかもしれないわね。

*******つまり、人間はどうあっても《下等動物》でしかなく、つまり、その《宿命》から逃れられない《大馬鹿者》であるといふ自覚がなければ、つまり、結局《縄張り》争いの坩堝に自ら進んで身を投じ、つまり、最後は無惨な《殺し合ひ》に終始する《愚劣》な生き物といふことを自覚しなければ、つまり、人間にとって《自由》は《他者を殺す自由》に摩り替はってしまふ外ない。つまり、レーニンがネチャーエフを認め、つまり、『革命家の教義問答』をも認めてゐたことは有名な話だけれども、つまり、レーニンが最も自身の後継者にしてはならないとしてゐたスターリンがソヴィエトを引き継ぎ、つまり、《大粛清》を行ったのも人間が《自由》に抛り出された末に辿り着く《宿命》、つまり、《自由》に堪へ切れずに人間内部に《自然発生》する《猜疑心》の虜になるといふ《宿命》、つまり、即ち《他者を殺す自由》が人間に最も相応しい《自由》といふことを証明してゐる。つまり、人類史をみれば、つまり、《自由》が《他者を殺す自由》でしかない事例は枚挙に暇がない。つまり、《他者を殺す自由》以外は全て排除、つまり、《自由》は《自由》に《抹殺》されてしまふ。

――そこでだけど、ねえ、《自殺する自由》はどう ? 

――……。

――やっぱり、あなたも考へてゐるのね、《自殺する自由》を……。

*******つまり、《何か》を《生かす》以外、つまり、《自殺》は地獄行きさ。つまり、卵子と精子の例じゃないけれど、つまり、《壱》のみ生き延びさせるための《自死》以外、つまり、《自殺》は、つまり、地獄行きだ。

――どうして《自殺》は地獄行きなの ?

*******つまり、例へば、僕も君も、つまり、一つの受精卵から子宮内で十月十日の間、つまり、全生物史を辿るやうに全生物に変態した末に人間に成るが、つまり、その一つの受精卵の誕生の一方で、つまり、《自死》した数多の卵子と女性の体内で死滅した数多の精子の《怨念》を、つまり、《背負はされて》此の世に誕生した訳だが、つまり、《自殺》はその死滅した、つまり、卵子達と精子達が許さず、そして、つまり、生き残った奴が《自由》に《自殺》した場合、つまり、此の世に誕生する事無く死滅させられた卵子達と精子達が、つまり、《自殺》した奴を地獄に送るのさ。更に《生者》が《自殺》するまで食料として喰らはれて来たこれまた数多の《他の生物達》の《怨念》も含めて、つまり、あらゆる《生者》は生まれた時から《死者》の数多の《怨念》を背負ってゐるから、つまり、《自殺の自由》を《生者》が行使した場合、つまり、地獄行きは《必然》なのさ。

――それでね、《他者》が存在するのは……。人間は独りでは《自由》を持ち堪へられない、故に《他者》が存在する、うふ。

*******さう、そして、つまり、未だ出現されざる未出現の《未来人》を必ず《未来》に出現させる為にも、つまり、《現在》に《生》を享けた人間は、つまり、与へられた《生》を全うしなければならない。つまり、その為には人間は数多の《他者》と共に生きねばならない。

――ねえ、さうすると、人間は《自由》とどう関はれば良いと思ふ ?

*******正直言ふと、つまり、僕にはそれは解らないんだよ。つまり、阿修羅の如き《自由》……、君はどう思ふ ?

――さうね、人間は分を弁えるしかないんじゃないかしら……、うふ、私にもこの《残虐非道》な阿修羅の如き《自由》に対しての人間の振舞ひ方は解らないわね、うふ。だって、《自由》を自在に操れるのは《神様》以外在り得ないもの。ねえ、さうでしょ、うふ。

…………

…………

君もさう思ふだらうが、雪の微笑みは何時見ても純真無垢な美しさに満ち溢れてゐたが、この時の雪の微笑みも『これぞ純真無垢 ! !』といふやうな飛び切りの純真無垢な美しさに包まれてゐて私は心地好かったのである……。

(以降に続く)
2007 09/30 02:57:26 | 哲学 文学 科学 宗教 | Comment(0)
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