ヘッポコ研究員のぐだぐだ休日

2006年 06月 02日 の記事 (1件)


5月は色々とやることが多すぎて,完璧に飽和しまくっとりました.
しかし,一昨日をもって,その全てが一区切りし(まだ完了ではない),ちょっとのんびりモードです.

そんなのんびりとした昼下がり,2週間くらい止まっていた腕時計の電池交換に行ってきました.

大学の構内に確かあったなぁと思い,半地下のお店へ.
そこにいたのは,よぼよぼのおじいちゃん一人.
大丈夫か?と半信半疑で,「すんません,電池交換お願いしたいんですが...」

「まぁ,座れ」

電池交換なんて,預けといて本屋に立ち読み行こうと思っていた僕は,渋々着席.

そこからはまさに異空間だった.
電池交換の過程を全て見せてくれ,なぜそうするのか説明してくれるのだ.

まず,蓋を外し,入ってた電池を見せてくれた.
「2004年の11月に変えたんだな」
「へっ?」
「電池に書いてあるんだよ,こういう風にしとくと,この時計の燃費がわかるだろ」
「ほぉおおお」
「あと,これ文字盤は大きいけど,中の機械は小さいだろ」
「へぇ」(確かに,半分くらいしかない)
「ここだけ女性用と同じものを使ってるんだよ.安くあげるためにな.」
「ほぉぉぉぉぉおおおおおお」

そしておもむろに引き出しから取り出した,古びた電圧計.
「なっ,電池ないだろう.針がほとんど動かねぇ.これじゃぁ駄目だ.」
「だめっすね」
「この型は,今日仕入れたから大丈夫だ.よし,動いてるな」
「はい」

そして,電池を再び取り出し,電池表面に日付を入れていく.
「手が震えてちゃ,こりゃかけねえんだよ.おれぁ,あと2年で90だがよ,震えねぇんだよ」

「あと,この蓋のところとか掃除するから,ちょっと待ってくれよ.こんなとこ,時計屋がしなかったら,だれもしねぇよな.よし,綺麗になった.そんで,あと,電池に日付入れとくんだよ,そしたら次替える時に,どれくいらい,電池もったかわかるだろ.」

「いぁ,それさっき書いてもらいましたけど...」

「あっほんとだ.年とると駄目だな.俺ぁ16のときから73年もここでやってるからねぇ.あと2年で90だよ」

最後に,時刻合わせ.

「俺の時計は,1ヶ月で2秒ずれるんだ.けど,毎日時報と合わせてるよ.まぁ,合わせる必要はほとんどねえがな.」

と,ご自分の腕時計と時刻を合わせてくれる.

「俺ぁ,16の時から73年間ここにいるが,ずっとこうやって作業をみてもらってんだよ.そしたら,お客さんも信用してくれるだろう.そんな,陰に隠れてこそこそやってたら駄目だよ.20の時に,兵隊行ったけど,南方行ってたら,死んでたかもしれなぇな.俺ぁ,満州で,毛沢東の...あれ,,,ほれ...」

「共産党っすね」

「そうそう,共産党と戦ったんだよ.最後は曹長で帰ってきたよ.星2つだ.」

そして,支払いを済ませて立ち去る,おいら.

外に出ると,天気は曇り.
普段見慣れた,どんよりした感じの空模様.
73年も,一つのことをやり続けることが出来るだろうか...
その仕事に誇りを持ち続けることが出来るだろうか...
2006 06/02 15:18:01 | へっぽこ日記 | Comment(0)
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