ポーランドの名ピアニストW・シュピルマンの奇跡的生還を描いた真実の物語を映画化した
『戦場のピアニスト』この映画で、『バラード1番』(”バラいち”って略して言ったりします)が演奏されて、クラシックのピアノ曲をあまり知らない人でも、好きなピアノ曲は?と聞かれれば、この曲と答える方が増えたんじゃないかと思えるくらい人気になりました。
でも、この曲はずっと前から音大生の間では、卒業試験にこれを弾く!って言う人が多く、とっても人気があります。
たった10分程度の曲なのに、とてもドラマティックにできています。
音楽は次から次へと展開していきますが、その構成のうまさはすばらしく、魅力的なメロディー、音楽の発展の仕方、劇的な終わり方と、こんなに贅沢でいいのかと思えるくらいの、内容の詰まった曲です。
◆序奏◆変イ長調
いきなり低音がドーンと鳴り響き、オクターブで謎めいた旋律が始まり、とても印象的な始まりです。
第一主題との関連性は薄いですがこの作品の劇的な性格を象徴しているかのよう。
◆第一主題◆ト短調
序奏が終わりすぐテーマが始まります。
このメロディーはなんとも陰気で捉えどころのない旋律で、感情が高揚しかけ、しかしすぐ憂鬱さが戻ってしまう・・・再び高まるけれども、またしても物憂げに沈んでいく・・・。
やがてオクターブの動機をきっかけに徐々に感情の高まりを見せて、 爆発するアルペジオとなって第一主題を締めくくります。
◆第二主題◆ 変ホ長調
すがすがしく爽やかで聴くものの心に真っ直ぐに入り込んでくる 夢のような本当に美しい旋律が始まります。
◆展開部◆ 変ホ長調
始めは第2主題がイ長調の高らかなファンファーレでそのまま登場しますが、完全終止せず、さらに爆発し、そしてきらびやかな展開部へと本格的に入っていきます。
◆コーダ◆ ト短調
この作品の最大の聴かせどころで、 劇的に最後を飾ります。特に最後は、激しいまま走り切って終わるのでなく、静けさと激情が交代して終わっていきます。
誰でも一度は弾いてみたい曲、私も卒試で弾きましたが、若さだけで何もわからずに弾いていたように思います。何もわからないから弾けたのかも・・・。