直線は寂しい もしほかの線と交わらなければ、 独りぼっちだ。
歪んだ線はなおも寂しい、 直線とも交わらず、 ほかのなにとも交わらない。
歪んだ線となおさら歪んだ線がからみあう、 それぞれが背をむけながら、 はなれることなく、むかいあうことなく。
9.7次元では2次元の蝶を数億に存在させる。 直線は、数億の気取った直線となり、 歪線もまた数億のはしたない線となるだろう。
数億の自分、数億の情念、 数億の嫉妬、数億の自虐、 それらすべてが、たったひとりの自分。
直線は寂しい。 たとえ他の線と交わりあえても、 次元を異にしてさえ、 たったひとりなのだから。
そう、
交差しあえた直線同士でさえ、 いずれははなれてゆくだけだから。
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