イタリアを旅行した時の事です。
バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂を訪れました。
ここには、ミケランジェロ25才の時の作品である、ピエタ(哀しみの聖母)像があります。
大聖堂に入り右側の大きな十字架の下、台座の上にあり、華やかな場所に置かれています。
<写真が鮮明でなくすみません。像に魅せられており、
撮る事を忘れて慌てて撮ったものですから。>
マリアの卵形の小さな顔、閉ざされた目、形の良い鼻、軽く結んでいる口元、これら全てから静かに彼女の深い哀しみが伝わってきます。
そして、前方に差し伸べられたマリアの左手からも。
また、細部まで見事に彫られた繊細な彫刻で、大きな感動を与えてくれます。
この作品から、彼が天才であるということがよーく解りました。
しかし、磔刑から開放されたキリストを抱くには、彼女は余りにも清浄で若く美しすぎて、私には彼女を受け入れるのに戸惑いがありました。
ミラノにある、ロンダニーニのピエタ像のほうが、私はマリアの老いた姿に現実味を感じたのでしょうか、スーと受け入れられました。
私の中でピエタ、という視点がピタット合いました。
そして、ピエタというよりも人間の悲しみというようなものを感じました。