もしその子がバトントワラーを名乗るのであれば、
人前でバトンを落とすことは許されないのでしょう。
逆に言えばお客さんの前でバトンを落とす子はバトン
トワラーとは言えないのでしょう。

でも世界チャンピョンがバトンを落とす時があります。
オリンピックの優勝候補が決勝の銀板でしりもちをつく
時もあります。甲子園の決勝戦で負けたチームの親達の
心境は複雑かもしれませんが、もし敗因を追求すべく、
その親達が犯人探しを始めたとしても、決勝戦を観て
感動した多くの人々がその行動に興味を示す事はない
でしょう。勿論現実はそんな親の息子があの甲子園決勝に
たどり着く訳もありません。

あの球場のように、自分の娘が戦ったあの日のコートと
同じように、9月9日のディズニーランドは真夏の日差し
に包まれ、暑かった。

メンバー達は息も詰まるようなプレッシャーを胸にボディ
ファン、タイツ、重ね着された衣装、メイク、髪飾りや
帽子を身にまとい、笑顔で多くのゲストに手を振りながら
全員揃ってスタンバイの位置につきました。流れる汗は
すでにメイクを落とし、容赦なく子どもの目に入り、
激痛をこらえた子もいたでしょう。

誰も助けてあげることはできません。
沢山のお客様を前に、ショーははじまりました。

1曲目。何度もビデオを観ましたが、ほぼ全員笑顔。手足も
大人数(実力差も有り)の割には十分揃っている。中には
数人今まで代表も見たことのないほど素晴らしい笑顔で
パレードする子もいた。BFは一瞬強風にリボンを流され
たが、素早く対応し最後まで動じることなく役割を終える。

2曲目。元気いっぱい。数人は普段の実力以上のキレを
見せる。全体的には笑顔もよく出ていて、オープニングの
盛り上がりをキープする事にほぼ成功。
所々のフォーメーションのわずかなズレは範囲内。
ティンクは存在感を強くアピールしていて演技も完璧。

3曲目。まずフラワー達の演技に脱帽。本番でこれ以上は
絶対無理。チビフラ達も笑顔満開でとにかくかわいい。
時々表情が途切れるのはご愛敬。花に囲まれたアリスは
登場と共に沢山の拍手をもらい、会場は「かわいい!」の
声に包まれながら最後まで目立つミスはなく上出来。

4曲目。前にも書きました。「新しいチャレンジ」。曲を
通して期待以上の出来。関係者以外の方々から特に褒め
られたのもこのナンバー。他の団体さんの先生方からも
暖かいメールが届きました。

5曲目。SBCを象徴するようなオープニングで人魚達の
物語が始まる。水の精達はプラザテラスを海に変え、
お姉さん達が優しく見守る中、彼女の登場。アリエルを
超えたその瞬間に言葉が見つからない。お姉さんとの
“ペア”では二人ともこの上ないほど美しい。後半の
盛り上がりは音楽を十分表現できていて、空を目指す水の
泡を表現したリングもお年を考えれば完璧。
最高、、、かな?

6曲目。最後の“一個前”。ここまでくるとメンバーも
親も先生も「いよいよ」となってくるのでいやでも空気が
変わる。“試される曲”は全体を通して緊張を隠せない
お姉さん、笑顔が引きつっている子、開き直って別人に
見える子、普段通りの子と色々。振り付けよりも複雑に
変化するメンバー達の表情に目を奪われる。
後半はメインキャラのまさかのドロップ。私はこれまで
このシーンでドロップをみたことがなかったため正直驚い
た。でも1番驚いたのは間違いなく本人達。誰にも誰かを
責める権利はありません。それよりも次の瞬間笑顔に
戻り、最後まで役を演じきったことに確かな成長を感じ
ました。今でも記憶に残っているのはメンバー達の「あの
時の精一杯」。この曲の最大の見せ場でもある全員の
ラインダンスはビデオで観ても圧巻。やる気のない子は
いません。

グランドフィナーレ。歌い始めの部分から(ミスした
子もそれを振り払うかのように)メンバー全員の力強い
エネルギーを感じる。現場では音がいつもより大きいので
みんなの声が小さく聞こえても、TV画面に今写るみんなの
表情は最高。早いテンポは心を高まらせ、パートごとの
フォーメーションの変化は見応え十分。キャンプの時に
変更になったリズムのシーンではトゥーバトンのエクス
チェンジを成功させたメンバー達を称えたい。

後半チビフラ達も必死に着いていく。メンバー全員に
とって要求される最後(最大)の集中力、もう気力体力の
限界、正直早く終わって欲しいと願う素直な気持ち、
そして一番ほめて欲しいお父さん、お母さんの目の前で
せまってくるエンディングのあの瞬間・・・ためらい
ながらも「難しい技じゃない!」、「絶対取る!」と
自分をふるい立たせ、一人一人が心の何かをこめて全員
で上げた最後のトス。
その勇気ある姿に私は感動しました。
2006 09/11 08:16:33 | none
Powerd by バンコム ブログ バニー