幼虫だったんだ・・・ 知らなかった。
モスラの幼虫並にすごいのかもしれないけど、でもやっぱり幼虫には間違いないんだね。
数々の闘いをくぐり抜けてきた。
もうこれ以上の闘いはないと思ってた。 疲れもあった。 だから、これからの人生は終息していくものと思ってた。
でも違ってた。
蛹(さなぎに)なる時が来たんだと気付いた。 いや、気付かされた。
そうか、まだ人生は続くんだね。
人づてに聞いた話しでは蛹になるとき、生命を維持するための最低限の器官のみを残して、あとはドロドロに溶けてしまうんだとか。 本当かウソかはわからない。 今はわからないけど、もうすぐわかるんだ。 怖いけどワクワク感もある。
今のところ、頭のパーツは準備できた。 手のパーツもある。 でもどうやらまだ胴の部分と足の部分が用意出来てないみたいだ。 用意出来次第すぐに蛹になろう。
その間は動くのは難しいからひたすら我慢だな。
でも見た目動かなくても中でどんどん体が出来ていくはず。
楽しみだ。
どんな成虫になるのか僕は知らない。 成虫になった僕もきっと幼虫時代の苦労を知らないんだろうな。
ただ一つ、生まれたときから付けられた名前以外は。
「一番搾り」という誇り高い名前以外は。
さぁ、忙しくなるぞ。
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