通説にとらわれない新しい歴史解釈
 日本側が最後通牒と受け取った強硬な内容のハルノートによって日本は米国との開戦を余儀なくされたが、このハルノートの草案の作成者は戦後ソ連のスパイとして摘発され疑惑の渦中に急死した、財務次官補ハリー・デクスター・ホワイトであった。
 そしてルーズベルト大統領のことも当時米国内において、共産主義者であると一部で評されていたそうである。(「ある科学者の戦中日記」P28)
 そうすると、日中の衝突から日英同盟の消滅、国際連盟からの脱退、三国同盟の締結、2.26事件の結果としての皇道派の敗退等一連の破滅への道程は主としてソ連の共産主義者によって巧妙に作成されたシナリオだったのではないかという仮説も成立するのではないだろうか。
226事件の際に青年将校達が担ごうとした真崎大将は「統制派は赤だ。統制派は赤の手先に踊らされていたのだ」と戦争中東部憲兵隊司令官大谷敬二郎大佐に語ったという。(昭和維新 田々宮英太郎 サイマル出版会)
 北一輝は財閥の三井から盆と暮に一万円づつ貰っていたそうである。当時の一万円といったら今日の三千万円くらいに相当する巨額である。北一輝が2・26事件に連座して処刑されたのに、その北に巨額の資金援助をした三井の関係者が不問にされたのは奇妙なことと言わねばならない。

「部下入営兵らの家庭がいかに貧困窮乏の状況を呈しているか、一方、満州事変当時発生した”島徳事件”のごとく自己の利益追求のために敵に重要物資を売り、それが敵の陣地構築に利用されて、満州の広野に転戦した第二師団の将兵の多数の戦死・戦傷の被害を出した。事変・戦争により利益を得るのは一部特権階級と財閥・悪徳業者・軍中央の一部幕僚のみである。国民生活安定のもとに国防を充実するのでなければ国家の安泰は確保できない。そのためには君側にあって民生の安定を度外視し、自己の利益追求にのみ狂奔する重臣・財閥・軍幕僚・新官僚を打倒して、天皇親政を確立するのでなければ、日本帝国の将来はきわめて暗澹たるものである・・・・・」(村中孝次ー銃殺刑)「特設軍法会議傍聴の記」金子桂(当時陸軍憲兵伍長)「歴人と人物 昭和五十六年二月号 中央公論社」

 処刑された栗原安秀は「余万斛ノ怨ミを呑ミ、怒リを含ンデ倒レタリ、我カ魂魄コノ地に止マリテ悪鬼羅刹トナリ我敵を憑殺セント欲ス。陰雨至レバ或イハ鬼哭啾々トシテ陰火燃エン。コレ余の悪霊ナリ。余ハ断ジテ成仏セザルナリ・・・」と恨みを書き残した。

 今日、東京渋谷の青年将校達が処刑された現場を訪れると青年将校等2・26事件の殉難者の慰霊のための立派な観音像が建立されており、そこからは青年将校達の怨念を感ずることはできない。幕末に坂本竜馬等と共に国事に奔走した勤皇の志士の生き残り田中光顕伯爵は「自分が宮内大臣だったら死刑にしないよう陛下に減刑の意見を奉ったであろう。国家に大切な勤皇の士を死刑に処したのは遺憾である」と述懐した。(二・二六青春群像 須山幸雄著 芙蓉書房)
処刑された青年将校達の一生は普通に考えれば短かったが彼らは歴史において永遠の生命を得た。今もなお、故国を遠く離れた異境のジャングルや冷たい海底に白骨となって横たわっている彼らと同世代の無名戦士達とくらべればはるかに幸せといえるのではないだろうか。100年、200年後においてさえ、彼らの名が歴史から消えることはないだろう。以て瞑すべしというべきか。
2009 08/04 19:48:02 | none | Comment(0)
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