通説にとらわれない新しい歴史解釈
 山本五十六というのはその戦い方から死に至るまで、実にミステリアスな人物である。その戦い方はあたかもわざと負けるようにしたのではないかと思われるほどの摩訶不思議な戦術の連続である。
 例えばガダルカナル島に飛行場を作ったが、ここは最も近いラバウルの航空基地から1000キロも離れているため、零戦の長大な航続力をもってしても片道3時間かかるのでガダルカナル島上空で米軍機と戦闘可能な時間は僅か10〜15分しかなかった。何でこんな防衛しにくい場所に飛行場を作ったのか?子供でもおかしいと思うであろう。

 ガ島戦における日米の海軍力の比較は、戦艦ー日本12隻、米ー6隻で空母は日本ー10隻、米ー4隻であった。しかし山本五十六はこれらの優勢な日本の海軍力を有効に使用しようとはしなかった。

 「わが連合艦隊は戦艦も空母もほとんど遊ばせて戦ったのである。要するにガ島戦を将棋にたとえれば、飛車、角、金、銀を使わずに負けた”世にも奇妙な”戦闘なのである」
「戦闘能力からも生産能力からも、逆立ちしても勝つ見込みのない航空消耗戦を、搭乗員の養成、補充も考えずに行った。絶対に不利な戦場までノコノコ出かけて、海軍航空が実質的戦力を消耗し尽くすまで、性懲りもなく行った」
 「こうして日本海軍は、米国海軍長官ノックスの言う『近代戦を知らぬか、近代戦を戦う資格の無い軍隊』に堕してしまったのである」
 「ヤコブ・モルガンという米国の作家が『山本五十六は生きていた』(忍野昭太郎訳 第一企画出版)のなかで、ルーズベルトは山本五十六以下の連合艦隊をおのれのスパイにして日本が負けるように作戦させたというのである。それは本当ではないかと思うほど、日本海軍の作戦は拙劣を極めている」(帝国海軍が日本を破滅させた  佐藤晃  光文社)

 当時の海軍上層部の人間性を知ることのできるエピソードを零戦のエース坂井三郎がその著書「零戦の運命」の中で書き残している。
 「ガダルカナル島の戦いが、文字通り、飢餓との戦いとなりはじめた頃も、ラバウルの司令部や部隊の高級将校たちの夕食はフランス料理のフルコースであったとの証言がある。それを提供した施設部のリーダー格だった人が、拙著『零戦の真実』を読んで来訪された時の証言だから、本当のことだろう。
ここに、その証言の驚くべき内容の一部を再録してみよう。主旨はこうなる。『あの頃、私たち施設部隊では皆さんの知らない施設もいろいろと用意させられたが、冷蔵庫を作ったので当然冷凍機も持って運転していました。坂井さん達がいた頃はもちろん、その後もずっと運転し続けたが、時々海軍の指令から「搭乗員たちは毎日毎日空中戦で大変だ。せめて毎日とは言わないまでも、時にはその冷凍機を使って、燃料、弾薬補給のために降りてきた搭乗員たちにアイスクリームを食べさせてやりたい」という注文があり、度々作って納めました。戦後、皆さんが書いたラバウル戦記のなかに、「燃料、弾薬補給のために飛行場に降り立った時吸った一服のタバコは何とも言えない味だった」という記事はよく見かけたが、「あの時のアイスクリームの味は今でも忘れられない」という記事は一度も見たことがない。坂井さんは私たちが心をこめて作ったあのアイスクリームを食べてくれましたか?』と聞かれた私はもう唖然とした。
「そんなもの見たことも聞いたこともないし、氷水も飲んだことはありませんよ」と答えたが、そんなことは信じたくないという返事。世の中の悪人たちの所業に人の上前をはねるという行為はよく聞くが、何とその頃の海軍の司令部のお偉方は、死に物狂いで戦っている搭乗員達の上前をはねるならまだしも、搭乗員の名前を騙ってアイスクリームを作らせ、搭乗員達には一片のアイスクリームを見せもせず、もちろん与えもせず、フランス料理のフルコースのデザートとして平らげていたのだ。前線視察に来た山本長官も、それを賞味したという確かな証言である。
 上級将校がこんな所業とあっては、勝利の女神もあきれ果て、振り向きもしなかったのであろう。仮に、企業で上層部だけがいい思いをしていたら、社員はついていくだろうか。何も、上級将校に兵士と同一の行動をとれとは言わない。ただ、苦楽をともにするという心意気が部下に伝わらなければ、兵士を奮起させることはできない。ましてや、兵士は犠牲的精神を発揮することもない」(零戦の運命 坂井三郎 講談社)

このエピソードはまさにマッカーサーが言ったといわれる「日本人は12歳の子供」説を裏付けるものである。いや、普通の12歳の日本の子供ならもっとまともな常識を持っているだろう。他人のことをまったく考えずに己の欲望を満たすことだけを考えるのは4,5歳の子供のレベルだろう。

2009 12/05 17:05:46 | none | Comment(0)
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