直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集
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当方は漢方専門薬局だから、滅多に漢方処方の指名買いで来られる方はいない。
それでもタマには、不妊症を治したいとて当帰芍薬散を指名されてきた方に、熱心に相談される方に、より適切な芎帰調血飲第一加減に切り替えてあげて、半年で念願の不妊症が治癒したということもある。
しかしながら、おおむねあらかじめネットや本、雑誌などで調べて漢方処方を指名されて来られる方には、当方の知識とキャリアよりも、それらの情報の方を信用されることが多いので、間違った方剤を選択されて来られた場合に、いくらこちらから親切に適切な漢方薬方剤をアドバイスして差し上げても納得されないことが多い。
だから、最近は説得するのを殆ど諦めてしまっているのが現状である。
50歳を過ぎた頃から、徒労に終わる懇切丁寧な説得とアドバイスを行う体力と気力も失せてしまった。
だから、風邪に葛根湯と言って指名された場合は、多くの場合、不適切な指名であるから(首の真裏が凝るかを確かめるだけでも殆ど見分けが付く)、販売しないに限るので頑固に販売を拒否する。
拒否するとはおだやかならぬ言葉に聞こえるかもしれないが、明らかに不適切な指名買いだから、販売する側の薬局薬剤師の権限および義務として販売しないのである。
咽喉が痛く、じんわりと汗ばんでいようものなら、発汗作用のある葛根湯ではもはや不適切な時期である。
中医学的には明らかに銀翹散製剤が適切なのだが、それこそ「一見のお客様(いちげんのおきゃくさま)」は、なかなな納得されないので、販売しないに限るのである。
このような場合にうっかり葛根湯を使用すると、発汗し過ぎて体力を消耗し、却って風邪を悪化させることさえ無いとは言えないのである。
だから間違った漢方処方を指名されて来られる方には、売らないに限るのである。
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