直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集

2006年 09月 の記事 (4件)

 本日も相変わらずお気軽なお電話のお問合せにお断りせざるを得ない内容ばかりが続いている。
 「お宅の漢方薬は保険がききますか?」という相変わらずピンとはずれのお問合せに、電話の応対に出る女性薬剤師は、些かウンザリ加減の様子が見て取れる。
 同様なお問合せが毎月何本かかることだろう。

 ところが、世の中、逆のケースも些か多く、あまり大きい声では言えないのだが、毎月必ずといっていいほど新しく来局される人の中には、
 「病院では漢方薬が出されたが、一向に効かなかった。病院でも漢方薬を出すくらいだから、きっと専門のところなら、もっと効く漢方薬があるかもしれないと思ってやって来ました」
 とおしゃる奇特な方達がおられるのである。
 意外に当方の地元ではこのような発想のもとに来局される人が多く、だからややトウヘンボクな薬剤師の経営する我が薬局も何とか潰れずに生き残れているのである。

 但し、誤解のないように言っておけば、保険漢方では適用されない特殊な漢方処方も医薬品として意外に沢山の種類があり、また牛黄や麝香などの高貴薬類は、一切保険がきかないのである。
 当方のような漢方専門薬局で販売している漢方薬は、保険漢方として採用されていない、特殊な漢方製剤が豊富に揃っているということだ。

 それらの特長を活かせる奇特な方たちが、常に安定して来局され、真の漢方の実力を信頼される常連さんたちによって存続出来るのである。

 仄聞するところによると、一部の同業者間では昨今盛んに宣伝される医療用漢方に脅威を感じて、喧々諤々の議論もなされているらしい。
 医療用と共通した漢方処方しか販売されない規模であれば、確かに死活問題として議論される理由も理解できる。
 
 また、明治維新以後、市井で営々と漢方薬の伝統を保守し続けてきたのも、多くの薬剤師や薬種商の人々であって、医師の数はほんの一握りに過ぎなかった。

 現代漢方は、昨今テレビ宣伝が盛んな勢いに乗じて、完全に医師の手に移っていこうとしているかのようだが、どうしてどうして、保険適用されない多種類の漢方製剤や、高貴薬成分から構成された各種の漢方製剤が、市井では地道に活躍しているのである。

 保険漢方は保険漢方、薬局漢方は薬局漢方として、今後も末永く両立していくに違いないのである。
 
 先日も病院から出された葛根湯が効かないので、保険の効かない銀翹散製剤を求めて来局された人が来られたばかりである。
2006 09/29 20:17:18 | 漢方のお茶でもどうぞ
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 総合病院などに勤務する身内の医師からシバシバ問合せされるのが、抗癌剤などの副作用防止の漢方薬である。
 特に吐き気止めに関する処方の質問では、出入りの医療用漢方メーカーのMRさんに、六君子湯と半夏瀉心湯を言われているが、どちらがいいのだろうかという質問である。

 当方の返事としては、ワンパターンの紋切り型のお返事しか出来ない。漢方と漢方薬の法則というものは、所詮、中医学理論に頼らざるを得ないのだから、日本漢方のパターン認識では、あまりにもファジー過ぎると思う。
 ひるがえって、貴方の言われる「六君子湯か半夏瀉心湯」と言われる二者択一的な決め方は、漢方薬を現代医学に取り込むのに性急な余り、西洋薬的なエビデンス漢方に堕する危険性なしとしない。

 情況によっては柴苓湯や小半夏加茯苓湯ということもあろうし、もちろん大柴胡湯が適切な場合もあろう。はたまた乾姜人参半夏丸ということだったあり得る。

 過去に、抗癌剤の副作用ではないが、妊娠中の悪阻が重篤化した同級生の看護婦さんに、一般処方では全然無効であったものが、乾姜人参半夏丸で一発で止まったことがある。

 人それぞれの個別性に合わせるのが本来の漢方薬のありかたであり、またそうでなければ有効・適切な漢方処方を選ぶことは出来ない。あてずっぽうで投与したものが良く効いたからと言って、どの程度の再現性があるのか? 
 確かに確率的には半夏瀉心湯などは抗癌剤の副作用による下痢などに有効性が高く、同時に吐き気止めとして作用するものの、常に再現性があるとは限らない。

 やや意地悪なお返事かもしれないが、漢方の本質に早く気付いてほしいからに他ならない。
2006 09/26 00:56:31 | 漢方のお茶でもどうぞ
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 休日の日曜日にもお問合せのお電話は多いが、昨今、最低限のマナーすら守れない人がとても多い。

 「今日はお休みですが・・・」というこちらの言葉に、すかさず切り返す言葉が「お休みならお訊きしてはいけませんか!?」という不快な語調である。

 病気に困っておられる立場のご家族なら、特権的な特別な地位とでも言われるのだろうか?
 こちらとて前日までのハードな仕事でへとへとの身体を回復させている休息日である。

 実際の所、お電話でのお問合せで、先のように最低限のマナーが守れない方とは、あとあとのトラブルを警戒して、御相談を受け付けない方針を徹底している。

 これが他の人達のように「お休みのところ申し訳ありません。ちょっとお訊ねして宜しいでしょうか?」
 と言われるのであれば、頭脳が停止中のアンテナを無理に揺り起こしてでも、親身にお話を聞く位のことはマナーとしても、人情としても大いに受け入れられるものである。

 ところが、しょっぱなから切り口上でやられたのでは、不快感が先にたって、奥ゆかしさが売り物だったこの日本国も、地に落ちるだけ落ちたものだと、せっかくの日曜日も些か台無しにされた気分に陥るのである。
2006 09/10 11:28:41 | 必ずお断りするべき御相談事例
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 時間に余裕がないと言いながら、漢方相談を求める理解に苦しむ人たちが後を絶たない。
 御自分の身体の問題である。「時間が余り取れないが」と言うこと自体が、明らかにお気楽・お気軽な相談である証拠だ。
 数日前のこと、十数年前に来られて暫く続けていたことのある人が、新たな相談でみえたのはよいが、時間がないというので、時間の余裕のあるときに出直してもらったばかりだ。
 そして出直して来られたという本日、一時間あれば大丈夫だろうと勝手に決め込んだ口上に、一番緊張感の強いられる綿密な漢方相談のアンテナが壊れてしまった。のみならず、病院にはまったく行っておらず、何の諸検査も受けないままの漢方相談というから尚更である。

 病院での受診前の漢方相談を受け付けているのは、日頃の様子が詳細に分かっている常連さんや昔からのお馴染みさんだけである。
 お馴染みさんや常連さんであれば、必要に応じて病院での受診や諸検査等を強く勧告できるし、また多くの場合、素直に応じてもらえるので、体調に新たな問題が生じた場合でも、詳細なご相談により、適切なアドバイスが出来るのである。


 時間がない、時間がない、という口上でやってこられる漢方相談ほど不愉快なものはない。だから当方では、あからさまに不快感を表明する。
 御自分の健康上の問題ではないのか?
 まったく理解に苦しむ平成時代の日本人たちなのである。
2006 09/08 11:54:08 | 必ずお断りするべき御相談事例
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