直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集

2006年 09月 26日 の記事 (1件)


 総合病院などに勤務する身内の医師からシバシバ問合せされるのが、抗癌剤などの副作用防止の漢方薬である。
 特に吐き気止めに関する処方の質問では、出入りの医療用漢方メーカーのMRさんに、六君子湯と半夏瀉心湯を言われているが、どちらがいいのだろうかという質問である。

 当方の返事としては、ワンパターンの紋切り型のお返事しか出来ない。漢方と漢方薬の法則というものは、所詮、中医学理論に頼らざるを得ないのだから、日本漢方のパターン認識では、あまりにもファジー過ぎると思う。
 ひるがえって、貴方の言われる「六君子湯か半夏瀉心湯」と言われる二者択一的な決め方は、漢方薬を現代医学に取り込むのに性急な余り、西洋薬的なエビデンス漢方に堕する危険性なしとしない。

 情況によっては柴苓湯や小半夏加茯苓湯ということもあろうし、もちろん大柴胡湯が適切な場合もあろう。はたまた乾姜人参半夏丸ということだったあり得る。

 過去に、抗癌剤の副作用ではないが、妊娠中の悪阻が重篤化した同級生の看護婦さんに、一般処方では全然無効であったものが、乾姜人参半夏丸で一発で止まったことがある。

 人それぞれの個別性に合わせるのが本来の漢方薬のありかたであり、またそうでなければ有効・適切な漢方処方を選ぶことは出来ない。あてずっぽうで投与したものが良く効いたからと言って、どの程度の再現性があるのか? 
 確かに確率的には半夏瀉心湯などは抗癌剤の副作用による下痢などに有効性が高く、同時に吐き気止めとして作用するものの、常に再現性があるとは限らない。

 やや意地悪なお返事かもしれないが、漢方の本質に早く気付いてほしいからに他ならない。
2006 09/26 00:56:31 | 漢方のお茶でもどうぞ
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