直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集

2006年 09月 29日 の記事 (1件)


 本日も相変わらずお気軽なお電話のお問合せにお断りせざるを得ない内容ばかりが続いている。
 「お宅の漢方薬は保険がききますか?」という相変わらずピンとはずれのお問合せに、電話の応対に出る女性薬剤師は、些かウンザリ加減の様子が見て取れる。
 同様なお問合せが毎月何本かかることだろう。

 ところが、世の中、逆のケースも些か多く、あまり大きい声では言えないのだが、毎月必ずといっていいほど新しく来局される人の中には、
 「病院では漢方薬が出されたが、一向に効かなかった。病院でも漢方薬を出すくらいだから、きっと専門のところなら、もっと効く漢方薬があるかもしれないと思ってやって来ました」
 とおしゃる奇特な方達がおられるのである。
 意外に当方の地元ではこのような発想のもとに来局される人が多く、だからややトウヘンボクな薬剤師の経営する我が薬局も何とか潰れずに生き残れているのである。

 但し、誤解のないように言っておけば、保険漢方では適用されない特殊な漢方処方も医薬品として意外に沢山の種類があり、また牛黄や麝香などの高貴薬類は、一切保険がきかないのである。
 当方のような漢方専門薬局で販売している漢方薬は、保険漢方として採用されていない、特殊な漢方製剤が豊富に揃っているということだ。

 それらの特長を活かせる奇特な方たちが、常に安定して来局され、真の漢方の実力を信頼される常連さんたちによって存続出来るのである。

 仄聞するところによると、一部の同業者間では昨今盛んに宣伝される医療用漢方に脅威を感じて、喧々諤々の議論もなされているらしい。
 医療用と共通した漢方処方しか販売されない規模であれば、確かに死活問題として議論される理由も理解できる。
 
 また、明治維新以後、市井で営々と漢方薬の伝統を保守し続けてきたのも、多くの薬剤師や薬種商の人々であって、医師の数はほんの一握りに過ぎなかった。

 現代漢方は、昨今テレビ宣伝が盛んな勢いに乗じて、完全に医師の手に移っていこうとしているかのようだが、どうしてどうして、保険適用されない多種類の漢方製剤や、高貴薬成分から構成された各種の漢方製剤が、市井では地道に活躍しているのである。

 保険漢方は保険漢方、薬局漢方は薬局漢方として、今後も末永く両立していくに違いないのである。
 
 先日も病院から出された葛根湯が効かないので、保険の効かない銀翹散製剤を求めて来局された人が来られたばかりである。
2006 09/29 20:17:18 | 漢方のお茶でもどうぞ
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