直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集
  何とも勿体無い話だと思う。この時代になってもステロイド軟膏を毛嫌いし、忌み嫌って絶対に使用したくないという若いご両親が多い。大事な子供さんが全身のアトピー性皮膚炎で常に痒がっていても、である。
 恐れた理由は、以前、皮膚科で出される通りに漫然と塗り続けて、治ったと思った時点で中止していたところ、猛烈なリバウンドに見舞われ、噂に違わず本当に恐ろしい薬だと深く認識するに到ったということらしい。
 明らかに医師のきめ細かい指導が不足していたか、あるいはご両親が医師の指導を守らなかったかのいずれかであろう。

 ステロイド軟膏の正しい使用方法は、金沢大学の竹原和彦教授らの研究により、すでに確立している時代である。
 また、漢方と漢方薬関係の医師(江部康二氏)の研究でも、同様の結論が出されている。

 漢方の領域でも、アトピー性皮膚炎の御相談はかなり多い現状から、専門家の間でも明らかな優劣はあるものの、アトピーを得意とするところでは、ほぼ全員を副作用を出すことなく完全緩解に近い状態に導いている現実を知らない人も多いだろう。
 ところが他の医療機関における治療や他所の漢方治療によって治癒せず、更に悪化した状態で来られた当初は、必要最小限のステロイド軟膏を適切に使用することによって、早期に緩解状態に導くことを可能にするのである。

 猛烈に痒がっている新来の時点で、見るに見かねて「皮膚科で適切なステロイド軟膏をもらって、一時的にでも使用してはどうか」とのアドバイスを素直に受け入れられない場合は、この柔軟性と臨機応変の精神に欠けるご両親では、この先が思いやられる故に、断固、漢方相談をお断りせざるを得ないことになる。

 そんな現実が昨日あったばかりなので、下記に引用する。
漢方と漢方薬の質疑応答集より、
昨年はHPを見て来られた人に、漢方薬で一ヶ月で治してほしいとか、一年で治してほしいという首を傾げる注文が目立ったが・・・の後半部分から。

 先ほど子供さんのアトピーで隣県から一家四人で直接来られた人があったが、来られる前にお電話なりメールでなりお問合せされておれば、遠くから無駄足にならずに済んだものをとややお気の毒であった。
 お断りした理由は、これまで二ヶ月ステロイドを使わない病院に行っていたが、大分良くなったといいながら、子供さんは赤黒い身体の全身をひどく痒がっている。ステロイドはもう一年以上使用していないという。そこまでヒドイ状態でステロイドを一時的にでも使用しないのはやや問題であること、今後もステロイドを使用しないつもりなら、当方では扱えないことを告げると、直ぐに諦めて帰られた。
 もちろん小生の性格上、ご両親が当方での漢方使用経験がない場合の子供さんは正直言って扱いにくい、きっとご両親が当方のアドバイスに素直に従えないだろうから、という本音を漏らすと、そこだけは大いに同意と見えたのであった。

 痒みの強いアトピー性皮膚炎に、臨機応変に一時的にでもステロイド軟膏を使用するくらいの融通性が欠如しておれば、将来が思いやられる。現実には当方の漢方薬を本気で始められた人は、ステロイド軟膏の副作用問題をほぼ完全にクリアしつつ、必要最小限使用してもらうことがあっても、次第に塗布する量も回数も激減し、運が良い人は漢方薬を服用後、一ヶ月もしないうちに殆ど使用する必要がなくなる人もいる。
 しかしなが、ステロイド軟膏も必要最小限の正しい使用方法を遵守すれば決して恐い薬ではなく、その間に漢方薬で比較的スムーズな体質改善が行えるので8割の治癒、つまり緩解状態に導くことはそれほど困難ではない。
2006 08/26 11:41:22 | 必ずお断りするべき御相談事例
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